越境ギャンブルとの闘いを狙いにした新たな方策に関して中国本土から出てくる最近の一連の方針発表が、マカオは中国政府の照準線上にある法域の1つなのかという疑問を生じさせている。
一般的な常識は通常「ノー」できている。
先週、証券会社のバーンスタインは、中国が中国人をターゲットにする海外カジノに対する新しい罪を創出するために刑法を改正する可能性があるというニュースを受けて、レポートを発表し、その中で、アナリストのヴィタリー・ウマンスキー氏、虞天娇(ティエンジャオ・ユ)氏、ケルシー・ヂゥー氏は、本土政府の海外ギャンブルに関する発表はマカオには言い及んでいないと断言した。
アナリストたちは、「マカオが『海外』または『外国』という言葉に含まれていたことはない。というのもマカオは中華人民共和国の一部であり、マカオには、その街の経済の大部分を支え、その政府の収益の大半を提供する合法のカジノ市場がある」と述べた。
ユニオン・ゲーミングのジョン・ディクレー氏も月曜、同様の見解を示し、「中国は再びジャンケットとオフショア賭博に狙いを定めている(中略)、マカオはオフショア賭博に含まれていない可能性が高い」と述べた。
しかし、その反対を信じる根拠がある。
月曜、クレディ・スイスは、レポートを出し、その中でリサーチアナリストのケネス・フォン氏、ロク・カン・チャン氏、レベッカ・ロー氏は、マカオは中国から大いに越境ギャンブル地として見られている、法律においても最近の判例によっても、と述べている。
彼らは、中国の司法部は法律上で、本土からマカオおよび香港へと出入りすることを出入国管理法(Exit and Entry Administration Law)第VIII章によって越境と定義づけている。これはまた、マカオと香港それぞれが、独自のビザ方針を持っていること、そして中国本土の住民はこの2つの特別行政区を訪問するためにビザが必要だという事実にも見ることができる。
しかしながら、より説得力があるのが、越境ギャンブルと闘う取り組みの中で、マカオの名を具体的に挙げている中国の地方政府からの最近の声明だ。
4月、嘉興市政府がジャンケット営業をターゲットにした3年間の「連鎖切断作戦」の開始を発表した。同市は、ジャンケットがツアーや「プライベートルームでのギャンブルのためにマカオ、フィリピンやその他の場所にあるカジノへの航空券の購入」を手配していると述べた。
「いわゆる『地下銀行』などギャンブルに関わる業界のブラックな連鎖全体を攻撃する」ことを約束する同政府はまた、「意識的に外国へ行くことを我慢する」よう一般市民に求めた。
6月、南通市政府は、ジャンケットにつながりのある18人がマカオへとプレイヤーを連れていく、マカオのカジノから手数料を受け取る、そしてプレイヤーに資本を提供するなど、「国内の企業家がギャンブル目的でマカオへと行く手配をした」として逮捕されたことを明かした。
1カ月後の7月、広東省公安部は、マカオを含む海外ギャンブルのために違法に資金を提供し、越境の資金送金を手配していた「犯罪組織」に関わる60人以上を逮捕したと述べた。
クレディ・スイスのアナリストたちが主張するのは、その全てのケースがマカオは越境ギャンブル地として見られているという彼らの主張を裏付けているということだ。
彼らは、「中央政府がルールや規制を公表した後、それを実施するのは地方レベルだ。取り締まりの規則は、『越境』が意味するものの明確な定義を提供していないが、我々は、地方政府のレベルでは、ジャンケット、カジノそしてシャドーバンキングなど、マカオが取り締まりのリストに何度も名前が挙げられていることに注目している」と述べた。
8月、中国文化観光部は、中国本土の客をターゲットにしたカジノをオープンすることで、同部が言うには国のアウトバウンド観光市場を混乱させている海外観光地の「ブラックリスト」を作成したと発表した。
具体的な名前は挙げられなかった一方で、同部は当時、新ブラックリストシステムによって、ブラックリストに含まれている海外都市や景勝地にいく中国人には渡航制限が課せられると述べた。
新型コロナウイルスが既に近い将来の海外へのレジャー旅行の可能性を大幅に制限していることを考えると、そのような制限が、いつ、どこで、どのように実施される可能性があるかに関する何らかの判断基準を得ることは不可能だ。
長年の1つの一般常識が、中国は国民のギャンブルに圧倒的に反対の立場を取っている一方で、他のどこかよりもマカオでしてくれる方がはるかにましだと考えているだろうというものだ。そのような特別扱いは将来も続くのか?
注目すべきは、中国政府は8月から個人訪問スキームを復活させることにためらいがなく、国民が再びマカオを訪れることを許可したことだ。ただし長い承認プロセスを待たなければならず、これまでのところアジアのカジノ中心地であるマカオへの訪問者数に大幅な増加をもたらすことはできていないが。
しかしながら、新型コロナウイルスが継続して世界を支配する中、中国がその問題を抱える息子に関して何を考えているかを正確に知るにはおそらく時間が経つのを待つほかないだろう。