フィリピンのカルロス・ドミンゲス財務相は、先週金曜ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が中国の習近平主席とフィリピンで拡大するオンラインゲーミング業界について協議したことを認めたが、同産業の全面禁止への具体的な要求は無かったと述べている。
週末財務省が発表した声明の中で、ドミンゲス大臣は、「北京でのロドリゴ・ドゥテルテ大統領と習近平国家主席の会談の中で、中国は政府のギャンブルに対する方針よりもフィリピンの自治権を尊重してくれた。中国のリーダーはフィリピンの行政トップに対して、主に中国人を雇用するオフショアゲーミング事業の禁止を依頼または要求しなかった」と述べた。
先週行われた北京での両首脳の会談の前には、習主席がドゥテルテ大統領にフィリピン・オフショア・ゲーミング・オペレーター(POGO)業界の終了を依頼するだろうと言われてきており、ゲーミング規制当局のPAGCORはすでに2019年末までPOGOライセンスの新規発行を一時停止している。
一時停止は、在フィリピン中国大使館が8月に、フィリピン・オフショア・ゲーミング事業者に雇用されている中国人を自己充足型ハブへ移動させるという提案に関して懸念を示し、オンラインまたはフィリピンにあるランドベースカジノへの中国人の違法勧誘を警告したことを受けて行われている。
大使館は、「中国の法律と規制では、オンラインギャンブル、海外でのギャンブル、主要顧客として中国人を対象にしたカジノの海外での開業を含む中国国民によるいかなる形式のギャンブルも違法である」と述べ、フィリピンギャンブル業界を「巨額の中国資金」の中国国外への違法流出の原因と名指しし、越境ギャンブル活動への中国政府による一斉取り締まりを断言した。
ドミンゲス大臣は習主席が「フィリピンでの新規ライセンス保有者の一時停止を称賛した」と述べた一方で、大臣は「ドゥテルテ大統領との会談の中での習主席のPOGOに関する発言は単なる『コメント』だ」とも付け加えた。
しかしながら、サルバドル・パネロ大統領報道官は、ドゥテルテ大統領は「POGOスキーム終了の影響を調査する可能性が非常に高い」と付け加えた。
Nikkei Asian Reviewはパネロ報道官が以下のように発言したと伝えた。「習国家主席は、(POGOの)新規申請を一時停止するという我々の措置に感謝を表明した。しかし主席は、POGOが廃絶または終了されればその感謝はさらに大きいものになるだろうと述べた」
フィリピンの反マネーロンダリング評議会(AMLC)は先週、金融委員会(Monetary Board)の代理で、フィリピンにあるPOGO事業者の60のライセンスを終了した場合の経済的影響全般への調査を開始したことを発表しており、これは業界が今はまだ安心できないことを示している。
PAGCORは2019年にPOGO事業者から約80億比ペソ(約162億円)の収益を受け取ることへの期待を述べており、これは昨年の73.7億比ペソを上回る額となる。
フィリピンでのオンラインゲーミング事業をめぐる問題は、カンボジアの首相が同国オンラインゲーミングライセンスの新規発行を停止し、現在のライセンスの有効期限が切れればこれ以上更新しないと発表してからたった2週間で持ち上がっている。カンボジア政府のこの対応によって、オンラインゲーミング業界の後押しで近年のカジノ開発急増が見られるシアヌークビルのような街にとっては、その将来に大きな疑問が投げ掛けられる結果となっている。
IAGはカンボジアのオンラインゲーミングライセンスが1月に全て期限切れを迎えると見ている。