オリックスは4日、大阪府と大阪市が誘致を目指すIR(統合型リゾート施設)の事業者に選定されたことに関連し、共同提案者の米MGMリゾーツ・インターナショナルと同じく最大2700億円規模のエクイティ出資を見込んでいることを明らかにした。ブルームバーグが伝えた。
同紙によると、矢野人磨呂執行役は同日の決算会見で、初期投資額約1兆800億円のうち、半分強をノンリコースローンでまかなう予定と説明。負債を除いた負担割合については、オリックスとMGMが40%ずつ、現在出資を募っている関西系企業などが計20%としたい計画といい、オリックスの出資額は最大2700億円規模とした。原資は「毎期の利益の蓄積で十分対応していける」とし、基本的には手元資金でまかなう意向だという。
大阪IRでオリックスとコンソーシアムを組成しているMGMリゾーツ・インターナショナルのCEO兼社長ビル・ホーンバックル氏は今年8月5日、同社の第2四半期の決算発表で、大阪のIRへの初期投資額が25億米ドル(約2,730億円)以下で、2024年から2026年の3年間に渡って行う予定であると述べていた。
「このプログラムは40-40-20の配分で、それぞれ40%を当社とオリックスが、残りの20%を他の日本企業とのコンソーシアムが補うことになる。そうでなければ、(当社とオリックスが)50%ずつ補う」
「実際はもう少し小さくなるだろうが、プロジェクトの規模が100億ドル(約1兆950億円)で負債と資本の比率を55対45と言うことは、おそらく2024年、2025年、2026年に分けるだろうが、我々にとっては20億ドル(約2,190億円)から25億ドル(約2,730億円)の小切手を意味する」と同氏は話している。
オリックスは4日の決算説明会の中で「2022年4月までに、大阪府・市とともに国への区域整備計画の申請を行う予定。総投資規模は1兆800億円、開業時期は2029年前後を予定している」とした上で、「埋め立て地ゆえに、ボーリングなどによる地盤調査を経て建設計画を確定させていくことになる。オリックスとしては今後諸々のプロセスの中で、クリアしていかねばならない幾つかの前提事項が存在しているが、引き続き実行に向け対応していく」と説明した。
非常に注目に値する発言も。IRへの来場者数や売上予測が2019年のものより上回っていること及び投資対効果について問われたオリックス側は、「この数字は大阪府・市が作成したもので仮置き」とした上で、「もともとインバウンド等を勘案した上で、数年前からやっていたが、今は客は全員日本人、日本人だけでどれだけ回るか、その前提でプランニングを作っている。10年、20年、何年くらいやれるかと言うこともあるが、十分10%以上のIRRは回せることを前提に試算している。MGMは我々の試算の約2倍の数字を出してきているが、私どもはあまりあてにしていない。我々のコンサバティブな数字を作った上で、日本の投資家だけで、日本の顧客だけでやってみて、そのぐらいのレベルになるだろうということで今進めている」と回答した。
目まぐるしく動き、先が読みにくい世界情勢を勘案し、非常に限定的、保守的な予測の中でも十分な投資対効果を見込めるとした点に自信が伺える一方、共にコンソーシアムを組成しているMGMとの目線の差をどう擦り合わせていくのかが注目される。