先週、ゲンティン株、ゲンティン・マレーシア株そしてゲンティン・シンガポール株全ての株価が急落したにもかかわらず、ゲンティンのグループ企業が、問題を抱えるクルーズ船事業者、ゲンティン香港の何らかの救済に加わるリスクは低いようだ。
ゲンティン香港が増大する新型コロナウイルスの圧力の中で流動性を保持するために、利息や用船料を含むグループの金融債権者への全ての支払いを一時的に停止したことが先週報じられたことを受けて、ゲンティンの株価は6.1%、ゲンティン・マレーシアは3.5%、そしてゲンティン・シンガポールは2.1%下落した。
その株価下落は、ゲンティン香港の財政難がグループ全体に広がること、そして特に他の上場会社がリム・コック・タイ会長兼CEOの指示で何らかの救済に関わることがあり得るという投資家の懸念だった。IAGが伝えた通り、リム会長は自身がゲンティン香港に持つほぼ全株、そしてゲンティン株の約3分の1をゲンティン香港の融資の担保として差し出すことを約束している。
野村のリサーチアナリスト、トゥーシャー・モハタ(Tushar Mohata)氏とアルパ・アガーウォール(Alpa Aggarwal)氏は、中でも特に明らかなゲンティン・マレーシアによるエンパイア・リゾーツの買収などの関連当事者取引におけるゲンティンの実績を基にすると、何らかの形での救済の可能性は完全に排除できないと述べた一方で、全子会社が現在自社の現金節約モードに入っているために、その可能性は低いと指摘している。
彼らは、「さらに、各事業体の規制機関が、カジノライセンスを持つ会社の企業構造を注意深く見守っており、これはこのような重要な取引は、規制機関による精査も通過する必要があるかもしれないことを意味している。
例えば、シンガポールの規制当局は、ゲンティン・シンガポールの事業を監視しており、ゲンティン・シンガポールが、日本拠点のカジノ開発を目指すことを選ぶとなれば、日本の当局に評価されることになる。従って、ゲンティン香港に利害関係があるということが、規制機関の承認手続きを複雑化させることになるだろう。
最後に、もし財政的な救済が、一定の基準を超える場合には、少数株主による投票が必要になる可能性があり、これは難しいハードルになり得る。
上記のことから、我々はM&A取引を通じた直接的な救済の可能性は低いと見ている。総合的には、(ゲンティン香港の)債権者たちは、最低でも債務再建計画を受け入れなければならない可能性が高いと見ている」と述べた。