フィリピンの統合型リゾート事業者、トラベラーズ・インターナショナル・ホテル・グループが同社のウェストサイドシティ・リゾートワールドのカジノおよびホテル部分の権利を香港のサンシティグループに付与したという先週の発表によって、フィリピン証券取引所(PSE)から上場廃止を計画している会社に適用される新たな規則が定められ、実施される可能性が出てきた。
先週前半に発表された多数の当事者が関わる複雑な取引の中で、トラベラーズとウェストサイドシティ・リゾートワールドという別の会社が、マニラのエンターテインメント・シティにあるウェストサイドシティ・リゾートワールドのメインホテルおよびカジノ用の計画用地を、開発のためにサントラスト・ホーム・ディベロッパーズにリースする共同開発契約を交わしたことを明かした。
また、その前の数日間に行われた一連のマーケット内外での取引によってサンシティがサントラストの51%を保有するようになったことも明かされた。
サンシティによるサントラストの支配権取得の合法性は現在PSEによって再調査されているが、アバカス証券のリサーチ部門トップ、ニッキー・フランコ氏によると、より緊急性が高いのは、リゾートワールド・マニラも運営するトラベラーズの取引所からの上場廃止という最近の決定に関する詳しい内容である可能性がある。
フランコ氏は、ザ フィリピンスターに対して、「サントラストがカジノの建設・運営権を手に入れたことは非常に驚きだ。というのも、リゾートワールド・マニラの上場廃止から1カ月経たずして行われたからだ。上場廃止申請に添付されたフェアネス・オピニオンが明確に現在ウェストサイドの開発計画はないと述べていることを思い出してほしい。当時我々はその主張を疑問視していた。このサンシティとの取引によって我々が正しかったことが証明された」と述べた。
ウェストサイドシティ・リゾートワールドは数十億米ドルをかけた広大なレジャー・エンターテイメントタウンシップで、フィリピンの建設大手、メガワールド・コーポレーションとトラベラーズが31ヘクタールの土地に開発している。
ゲンティン香港とアライアンス・グローバル・グループの合弁会社であるトラベラーズは、8月以降にPSEから上場廃止したマニラのカジノ事業者2社のうちの1社で、シティー オブ ドリームス マニラを運営するメルコリゾーツ&エンターテインメント(フィリピン)の後に続く形となっていた。
しかしながら、それらの取引によって、上場廃止プロセスや同じような状況が生じた際将来どのように株式の価値を決めるのかに関する新規則が実施される事になる可能性がでてきた。
規制当局である証券取引委員会の エフィーロ・アマトン会長は、「PSEと協力して、上場廃止プロセスの公正性を調査している。PSEはいくつか提案を行なっており現在評価しているところだ」と述べた。
フィリピン株主協会(Shareholders Association of the Philippines)のフランシス・リム会長は、フィリピン・スターに対して、会社が上場廃止をしようとする際に少数株主の権利を守るためにまだするべきことがたくさんあると述べた。
リム氏は以下のようにコメントした。「PSEは取締役会の過半数の承認に加えて、株主の承認も求めるよう規則の改正を検討したがっている可能性がある。取締役会、そして株主レベルの両方での特別多数決の要求も検討してみるかもしれない。PSEはまた、最低公開買付価格の検討も希望する可能性がある。これは問題の核心に近い。この地域にはPSEが参考にできる多くのモデルがあり、PSEはこの国の証券市場に最も適したと思うものを選ぶことになるだろう」