JPモルガンのアナリストよると、先週記録された1億5000万豪ドル(約109億1,210万円)のオーストラリアンパワーボールジャックポットランは、「ジャックポット疲れ」を引き起こし、「見逃すことの恐怖(FOMO)」の境界を引き上げることで、事業者であるTabcorpの長期的なチケット売上を減少させる可能性がある。
3人の勝者がトップ賞を共有した最近のパワーボールジャックポットの収益への影響について調べた水曜日の説明で、JPモルガンのドナルド・カルドゥッチ氏とアビナイ・ジェガンナガリ氏は、1億5000万豪ドルのジャックポットが19年度までにチケット売上を19.33%増加させたと推定している。ただし、2020年6月30日までの12か月間は、その後の「ジャックポット疲れ」を直接的に受け、売上が7.22%減少すると予測している。
「プレーヤーがチケットを購入する前により大きな賞金を『待つ』と、ジャックポット疲れが生じ、結果としてチケットの販売数が減り、賞金の伸びが抑えられる」と両氏は述べる。
「これは『FOMOポイント』、つまりはプレイヤーが大きなジャックポットで『見逃すことを恐れる』境界とは対照的である。FOMOはチケット売上や、口コミで後押しされた新規の宝くじプレーヤーを増加させる」
JPモルガンの懸念は、2015年10月に米国のパワーボールが勝率を1億7500万分の1から2億9,200万分の1に減らすことで、より大きなジャックポットを生み出すよう決定した米国での同様のケーススタディに裏付けられている。3か月後の2016年1月、米国のパワーボールは16億米ドルの記録的なジャックポットに達した。これは前年の記録から108%増加しており、チケット売上を69.7%増加させるほどであった。
ただし、FOMOポイントも63.7%(2016年の1億7120万米ドルから2017年の2億8100万米ドルへ)増加し、2017年以降のチケット販売数全体が減少した。
「より大きなジャックポットのチケット売上が増加したが、これはジャックポット疲れによる中小規模のジャックポットの売上減少を補うには不十分であった。これにより、ジャックポットチャンスのルールが変更されてから、チケット売上を減少させようとする圧力がかかっている」
Tabcorpは最近、オーストラリアのパワーボールオッズに独自の変更を実施し、現在は1億3400万分の1となっている。JPモルガンは、ジャックポットの前後で4262万豪ドルから7049万豪ドルに上昇した最近の1億5000万豪ドルのジャックポットをきっかけに、同国のFOMOポイントが75.1%増加すると予測している。
両氏は、「最近の業績を考慮して20年度の収益を5%増やしつつ、ジャックポット疲れにより21年度の収益を2%削減した」と述べた。