6月19日、一般社団法人・日本IR協会主催の「第3回 IR 勉強会プログラム」が、衆議院第1会議会館にて開催された。同勉強会は、IR誘致に積極的な自治体や議員向けの勉強会プログラム。今回は前回より会場の規模も拡大し、より多くの参加者が熱心に耳を傾ける姿が見受けられた。
今回、講演したのは、MGMリゾーツ社 ヴァイスプレジデント、インターナショナルエンターテインメント&ブッキングコーポレートエンターテインメントのエイミー・チャイ氏、メルコリゾーツ&エンターテインメント社 ブランド・エンターテイメント・リーテル最高責任者のフレデリック・ウィンクラー氏、そして、松竹株式会社 常務取締役 岡崎哲也氏の3名。それぞれが、日本IRにおけるエンターテイメント・コンテンツについて熱く語った。
MGMのチャイ氏は、MGMがラスベガスのMICE施設で開催してきたエンターテイメント・コンテンツにおける輝かしい歴史を披露した。具体的には「シルク・ド・ソレイユ」や「ジャバウオッキーズ」の公演、ボクシングやNHL等のスポーツを挙げた。その中には、後述する松竹と協力し公演した「歌舞伎」も取り上げられ、「他の国の人にもわかりやすく、ユニークなもの、日本の伝統をリスペクトした形が望ましい」と述べた。
一方、メルコのフレデリック・ウィンクラー氏は、「世界を席巻するエンターテイメントを創造し提供するには、一連のルールが必要」と述べ、それを「新しい7つのルール」として語った。
そのルールの中には、「観客が参加し体験すること」、「ローカルにフォーカスしたエンターテイメント」、「次世代のテクノロジー」などを挙げた。その上で、「日本IRは日本にフォーカスしたIRであるべき。伝統的な古典をと言うわけではないが、オーディエンスに合わせた形に」と述べた。
そして、今回1番興味深かったのが、松竹株式会社。松竹は2015〜16年にMGMの協力を得てラスベガスで歌舞伎を上演、好評を得ている。松竹の岡崎氏は、「歌舞伎という日本の伝統芸能と最先端技術を融合させ、ダイナミズムと美しいものを1つにし、(外国人や現代日本人にも)わかりやすくすることが重要である」と述べた。また、プロジェクションマッピングや、NTTとの提携による、「空間をまるごとリアルタイムに世界中へ配信する」これまでにない超高臨場感を実現するイマーシブテレプレゼンス技術「kirari!」を駆使し、没入型のエンターテイメントの提供を目指している。
さらには、8月に京都の南座において、「八月南座超歌舞伎」と題し、ボーカロイド(バーチャル・シンガー)の初音ミクとコラボした歌舞伎を演出を一新して披露する予定であり、また、海外で人気の日本の漫画「ONE PIECE」や「NARUTO」と歌舞伎のコラボ等、幅広く新しいエンターテイメントの可能性を模索している。
日本版IRにおけるエンターテイメント分野は素晴らしいものになる。そう期待せずにはいられない。