和歌山県では7日、和歌山市のマリーナシティに誘致を進めるIR(カジノを含む統合型リゾート施設)の運営を担う事業者が、資金計画などを含む区域整備計画案を県議会に説明し、IR特別委員会がそれを審議した。
これで初めて同計画の資金内訳が公表された。
県は7日、初期投資4700億円の内訳を含む計画案を県議会に提示し、IR対策特別委員会がこれを審議した。IRの運営は、設立中の「和歌山IR株式会社」が担う。構成員には「クレアベストニームベンチャーズ」(東京)と親会社の「クレアベストグループ」(カナダIR投資会社)、「シーザーズ・エンターテインメント」(米カジノ大手)が明記された。
IR誘致による経済波及効果は建設時約7100億円、運営時は年間約3100億円を見込み、2027年秋ごろの開業を目指す。
県の説明によると、初期投資額4700億円のうち主要3者が計約870億円を出資する。日本企業では、ゼネコンの「西松建設」などが計約580億円を出資する予定であることが明らかになった。残りの約3250億円については、スイスの投資会社「クレディスイス」が中心となり融資を集めるとしたが、内訳は公開されなかった。
2021年9月にシーザーズがカジノ事業者として発表されたものの、当時、同社は経済投資を必要としないと述べた。
しかし現在の投資内訳はシーザーズは5%、クレアベストは55%、その他は40%となっている。
昨年11月に開かれた県議会の特別委員会では、議員側から、資金調達の面やIR運営事業主体の構成メンバーなどについて質問がなされたが、県とクレアベストは「具体的な内容は現時点では話せない」と回答した。これを受けて委員会は「住民に説明するには内容が不十分で、(説明会は)現段階では延期すべき」との意見をまとめ、県はパブコメや公聴会を延期していたが、今回、特別委員会は、延期されていた公聴会とパブコメの実施を認めた。パブコメは2月9日から3月10日までの1カ月間行う。また、現在和歌山県では新型コロナウイルス対策として「まん延防止等重点措置」が適用(2月5日〜27日)されているため、公聴会については3月上旬頃の開催になるという。
県は計画案について9日からIR推進室のホームページなどで公開する予定。