オーストラリアのメディア誌であるThe Age, The Sydney Morning Herald and 60 Minutesによる3者間レポートで、地元カジノ事業者であるスター・エンターテイメント・グループが、疑わしいマネーロンダリングや組織犯罪、詐欺、他国干渉を許していたことに触れ、地元ライバル企業のクラウン・リゾーツの写し鏡のようだと主張している。
申し立ての様子は、オーストラリア時間10日(日)の夜に放映された。スター・シドニー、スター・ゴールドコースト、トレジャリー・ブリスベンの運営者であるスターが、顧客の資金源をめぐる警告を無視しながら、組織犯罪に関わるハイローラーギャンブラーを長い間関係してきたと主張している。
特にマスコミが指摘しているのは、スターが委託し、取締役会に提出した国際的な監査法人であるKPMGによる報告書についてであり、そこにはスターのマネーロンダリング防止手順の明らかな失敗が概説されている。その報告書では、スターのAML手順が、「AML-CTF [マネーロンダリング防止及びテロ資金供与防止法]法で義務付けられているテロ資金供与を考慮していない」と警告した。すなわち、特定のギャンブラーの評価が「マネーロンダリングリスクの水準を過小評価しているように見える」であるということ、また同社がアジアのジャンケット事業者に適用される「文書化されたマネーロンダリングリスク評価またはリスク評価方法」を持っていなかったことを示している。
The Age, The SMH and 60 Minutesは、スターが中国のハイローラーに発覚を回避する手段として銀聯(UnionPay)などのデビットカードを使って、ギャンブル目的でスター経営のホテルから「数億ドルの資金」を引き出すことを許可したと主張している。同様の行いがメルボルンで発生したことがわかっており、これは先日クラウン・メルボルンのカジノライセンス保持に関して不適格かどうかについての王立委員会が行われている最中の出来事であった。
クラウンは、企業慣行のさまざまな変更が行われるまでシドニーでライセンスを保持するのに不適格であることがすでに判明しており、西オーストラリアのカジノのクラウン・パースは別の王立委員会に直面している。
10日(日)のレポートによると、スターが幾人かのハイローラーの行動に懸念があるにもかかわらずギャンブルを続けることを許可したと述べており、またニューサウスウェールズ州またはビクトリア州のカジノへの入場を警察に禁止されているその他のハイローラーに対し、スター・ゴールドコーストでのギャンブルを許可していたと主張している。
また、スターが2020年までアジアのジャンケットと取引していたとも述べている。これは、クラウンの事業運営に疑問を呈する調査がなされているにもかかわらずのこと。
スター・エンターテインメント・グループのジョン・オニール会長は、今年2月にメディアに同社は「次の通知があるまでジャンケット事業から退く」と語っていたが、将来におけるジャンケットとの関係性について排除していなかった。
今週、王立委員会からの調査結果をレイ・フィンケルスタイン委員がクラウン・メルボルンに言い渡す予定のため、これらの申し立てのタイミングが重要となる。NSW独立酒類・ゲーミング局((ILGA)は、昨年のバーギンレポートでクラウン・リゾーツを厳しく追求した同じ弁護士に、スター・シドニーの定期調査を依頼したことを9月に明らかにした。