ゲンティン・シンガポールは、ゲンティン・グループの会長兼CEOであるリム・コック・タイ(林国泰)氏の給与が、先週発表された同社の年次報告書とは関係なしに2倍以上となっていたが、2020年度は半分の削減をしたと主張している。
年次報告書によると、リム会長の2020年度の総報酬の範囲は2125万〜2150万シンガポールドル(約17.3〜17.5億円)であり、2019年に公表された950万〜975万シンガポールドル(約7.7〜7.9億円)よりもかなり高額であった。それは新型コロナの影響を受け、ゲンティン・シンガポールの純利益が前年比90%減の6,920万シンガポールドル(約56.3億円)という事態になったにもかかわらずだ。
この矛盾により、先週木曜日のシンガポール取引所から「説明依頼」が出され、ゲンティン・シンガポールは金曜日の提出書類の中で、リム氏の2020年度の2,125万〜2,150万シンガポールドルとされた報酬額の80%強が、実際には見込みボーナス3,500万シンガポールドル(約28.5億円)の一部50%(約14.25億円)を会計上の見越額として計上していたと回答した。このボーナスとは、ゲンティン・シンガポールが日本でIR設置・運営ライセンス(以下、IRライセンス)を獲得した場合、「会長奨励賞」としてインセンティブ報酬がリム氏に支払わる予定のものである。
また同社は、そのボーナスはまだ実際に支払われていないとし、リム氏への2020年度の支払額は現状500万SGドル(約4.7億円)未満であると付け加えた。注目すべきは、同社が日本のIRライセンスを取得した場合、3,500万シンガポール(約28.5億円)のボーナスをリム氏がすべて受け取るとされているが、横浜または他の地方自治体に優先事業者として選定された場合でも、同社が最終的に国レベルでの入札に成功するかどうかに関係なくその50%(約14.25億円)を受け取ることになっている。
ゲンティン・シンガポールは現在、横浜での入札に焦点を絞っており、横浜のIRパートナーとなり、来年には国への区域認定の申請に進むことを望んでいる。
日本の改訂基本方針の下で、候補都市とその選定事業者は、2021年10月から2022年4月までに区域認定申請をする必要があり、その後最大3カ所でライセンスが付与されることになっている。
同社は金曜日のシンガポール取引所に、2020年にリム氏に付与された75万株の達成報酬は「2020年度の業績不振のため」失効したが、他の3人の取締役それぞれに12.5万株の株式報酬が付与されたと語った。2020年に同取締役それぞれに付与された別の50万株の株式報酬は、同社の日本のIR入札に関連しているため、その入札が成功した場合にのみ受け取れることになっている。
ゲンティン・シンガポールの社長兼COOのタン・ヒー・テック氏は、2020年度の会計額の81.2%が給与、わずか17%がボーナス、そして残りは役員報酬として記されていたが、同氏の給与は、2019年の625万〜650万シンガポールドル(約5〜5.3億円)から2020年度は275万〜300万シンガポールドル(約2.2〜2.4億円)に下がったと述べた。
「2020年3月以降、経営陣の基本給を最大30%削減、同年度の賞与と達成報酬は、業績不振を理由に取り止めとなった。
全体として、2020年度の取締役および主要管理職の給与体系は、日本のIR計画のインセンティブ報酬に関連する見越額を除き、前年度と比較して50%以上削減された。」と同社は述べた。