会長兼CEO
ゲンティン・バーハッド
副会長兼CEO代理
ゲンティン・マレーシア
会長兼CEO
ゲンティン香港
経営執行役会長
ゲンティン・シンガポール
取締役
トラベラーズ・インターナショナル・ホテル・グループ
パワースコア: 2,727
昨年の順位: 4
評価理由
• マカオを除くトップのアジア市場、英国、北米に事業展開する最もグローバルなゲーミング企業を率いる
• 拡大への野望、特にゲンティン香港を通じたクルーズ船での拡大、そして収益減少がバランスシートに打撃
• 息子であるリム・ケオン・ホイ (林拱輝)氏をゲンティン3代目として引き継げるよう指導中
ゲンティングループは、昨年報告されたゲーミング粗収益47.3億米ドルと、レジャー・ホスピタリティ部門からの利益16億7,000万米ドルがあり、4つの上場会社が8つの法域にゲーミング資産を保有する巨大な企業だ。だが、ゲンティンは静かで、予測可能で、他の派手な競合他社と比べて退屈でさえある。リム・コック・タイ会長は波風を立てないことを好む。しかし、ゲンティンのビジネスにおける派手で波立つ部分のゲンティン香港を拠点にするクルーズ部門は、静寂を台無しにし、リム氏の財産を減らし、そしておそらくグループのバランスシートを水没させる危機にさらしている。
それが、2007年に父親でありゲンティンの創業者であるリム・ゴ ー・トン氏から実権を引き継いで以降、リム氏が直面した最大の課題だ。その結果が、69歳の会長が、その息子で後継者として育てられているリム・ケオン・ホイ氏に何を譲るかを左右することになるだろう。
ゲンティンは、シンガポールや香港発の無寄港カジノクルーズ船で数10年前に海へと乗り出した。その後、香港上場会社の当初の社名であるスタークルーズブランドの下で本格的な船旅を提供した。ゲンティンはノルウェージャン・クルーズラインの戦略的株数を手に入れ、その後売却して2015年にハイエンドのクリスタルクルーズを購入した。同年、同社は中国市場をターゲットにしたドリームクルーズを立ち上げ、船を製造するためにドイツの造船所を購入した。
2020年8月、ゲンティン香港は7月31日付で33億7,000万米ドルの負債の返済を停止し、債権者と、債務再編の協議を開始した。ゲンティン香港株は、1年前には1.00香港ドル近くで取引されており、7月を0.49香港ドルで終えた後、0.30香港ドル(約4.07円)を下回るまでに値下がりした。
ゲンティン・バーハッドとゲンティン香港が今年上半期に合わせて11億9,000万米ドルを失うなど、新型コロナがゲンティンの財務的な強さを弱らせてしまう前でさえも、実は現金不足に陥る可能性の兆しが見えていた。フィッチ・レーティングスは昨年、今年に55億米ドルの資本需要が予想されていることを指摘して、同グループを格下げした。資本需要には42億米ドルのリゾートワールド・ラスベガスとシンガポールでの33億米ドルの拡張が含まれる。ゲンティンは昨年、4億7,900万米ドルでドリームクルーズ1隻を売却し、マニラのエンターテインメント・シティへの資本支出額を減額した。
ゲンティン・バーハッドは2015年にゲンティン香港から撤退したものの、リム氏は、マレーシアに上場するグループ親会社の持株45%のかなりの部分を担保として差し出したと伝えられている。同氏の個人資産は、2019年半ばからの株価下落によって予想では15億米ドル減少した。緊急事態に備えてリム氏と家族がどの資産を秘密裏に蓄えてきたかは不明だ。株主たちは、エンパイア・リゾーツ救済の再現を恐れている可能性がある。リム氏の Kiem Huat Realtyは、リゾートワールド・キャットスキルズをゲンティン・マレーシアに売却することで、そこからの損失を法人の傘下に組み入れた。
現在財務的には荒れてはいるが、ゲンティンを過小評価する際は自己責任で。シンガポールのリゾートワールド・セントーサは、マリーナベイ・サンズのすぐ向かい側でなければ、アジアで最も称賛されるIRであった可能性が高い。同様に、大半の国民が法的にギャンブルを禁止されている国で、リゾーツ ワールド ゲンティンには豊富な非ゲーミングアトラクションがあり、まさに日本がIRに求めているものである。
そのモデルはライセンス再入札が近づくにつれて、マカオであってさえも共感を呼ぶことになり得る。ゲンティンは、英国で最も多くのカジノを持っており、ベガス、フロリダ、そして既存の2つのゲーミング施設を市のカジノライセンスのために軌道に乗せたいと願うニ ューヨークなど、アメリカでの野望がある。ゲーミングが正常な状態に近づく中で、ゲンティンの船が再び入港し始めることだろう。