ウィン・マカオが、ドイツ銀行シンガポール支店との間で満期2026年利回り5.500%の優先債(シニア債)7億5,000万米ドル(約800億円)を発行する引受契約を結んだ。同社は新型コロナウィルス感染症を乗り切るための助けとしておよそ7億4,310万米ドル(約794億円)の調達を目指していると話す。
米国外の資格要件を満たした機関投資家に限定して募集され、調達された資金は、「新型コロナウイルスのパンデミックの影響から事業が回復するまで一般事業目的で使用、その後信用融資枠の下での残高の一部返済に充てられる予定だ」とウィン・マカオは述べた。
社債発行の詳細が発表される前の先週後半、同社は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためにマカオで3月に実施された入境制限の影響から、2020年4月と5月の月に1億2,610万米ドル(約135億円)から1億1,880万米ドル(約127億円)の間の調整後EBITDA損失額を計上すると予想していることを明かしていた。2019年同期間の調整後EBITDAは2億1,520万米ドル(約230億円)で、今回の予想損失は前年比でおよそ157%の減少を意味している。
ウィン・マカオによると、支配株主の中にこの引受契約または信託証書の相手方はいないものの、同社とドイツ銀行トラストカンパニーアメリカズ(Deutsche Bank Trust Company Americas)の間の証書には、支配権の変更があった場合にはウィン・マカオが元本の101%と利息を支払って債券を買い戻すことを求める条項が含まれる予定。支配権の変更となる状況には、ウィン・リゾーツ以外のいずれかの企業が、発行済み株式の50%以上の所有権を得る、またはウィン・マカオがマカオのゲーミングコンセッションを保有するウィン・リゾーツ(マカオ)S.A.の少なくとも60%を所有しなくなった初日などが含まれる。
ウィン・マカオについては、一部の業界アナリストやコメンテーターたちから、創業者であるスティーブ・ウィン氏が2018年2月に会長兼CEOを退いてからずっと、買収のターゲットにされている可能性があると指摘されている。そのような買収の噂は、ラスベガス・サンズのシェルドン・アデルソン会長兼CEOが、同社はアジア全域でM&Aの機会に警戒していると述べたことで、先月さらに拍車がかかった。
ギャラクシーエンターテインメントグループはすでにウィン・マカオの親会社であるウィン・リゾーツの4.9%の株式を所有しており、スティーブ・ウィン氏が辞職した直後の2018年3月に9億2,750万米ドル(約991億円)で購入している。