長崎県佐世保市へのIR(カジノを含む統合型リゾート施設)誘致を目指す九州IR推進協議会(KIRC:カーク)は4日、IR産業への地元調達促進や観光周遊促進を目的として、セミナーをオンラインで開いた。KIRCは、九州地方知事会、九州各県議会議長会ならびに九州経済連合会をはじめとした九州の経済団体等から構成される団体。
会長の麻生泰氏は冒頭の挨拶で、同協議会の主な取り組みについて、IRで発生する需要を地元で確保する調整、九州全域での観光の協力体制を取ることの2点を強調した。
「同セミナーはビジネス事例、ライセンスやコンプライアンスなどIR産業の基礎的な勉強をしていこうというもの」「九州にとって(IRは)非常に挑戦的なテーマ。九州全体の経済力の強化、観光ビジネスの主なる流れを作っていくことに繋げていきたい」と力をこめた。
講師として登壇した梶武司氏(一般社団法人ゲーミング・スタンダーズ・アソシエーション・ジャパン代表)と、長谷川耕平氏(週刊ホテルレストラン編集長)は、巨大なIR産業による需要は多岐に渡り、なかでもIRで働く人により生み出される需要の大きさに言及、そこにビジネスチャンスがあることを伝えた。
海外のIRで豊富な経験を持つマイケル・ジュー氏(The Innovation Group Senior Vice President)は、多階層に及ぶ直接的、間接的経済効果について解説。「カニバリゼーション(共食い現象)を危惧する方もいるだろうがその心配は無い、パイを奪い合うのではなく、そのパイを大きくすることが重要であり、IRがあることにより自分の取り分も大きくできる。それは海外の多くの市場で見られる」と海外の事例を出して説明した。
Easyplaytime代表でヨーロッパ・カジノ協会名誉会長であるロン・フースミット氏は、KIRCについて、「1カ所ではなく(九州全体で)結束してIR誘致をサポートするのは賢明な手段である」と評価。「カジノやIRに関しては今でもステレオタイプ(悪いイメージ)があると思う。しかしビジネスとして大きく変化し、今は信頼性のある安定したビジネスだ」「地元企業にとってもビジネスチャンスを創出する」と語った。
マイケル・ジュー氏、ロン・フースミット氏と対談を行った國領城児氏(ベイシティベンチャーズ株式会社代表取締役)は、IR産業でのビジネスチャンスについて、「まずIR産業のことを知る。次にIR産業の中にどういう可能性があるのかを考える。それから戦略を練り、そして実行する」と、4つのプロセスを示し、現在は可能性を考える段階にいると説明。相談できる相手としてKIRCがあることは大きなアドバンテージであると話す。
閉会の挨拶には佐世保市長の朝長則夫氏が登場。「九州・長崎IRの効果を地域経済の振興、発展、そしてポストコロナ時代の日本経済の発展に繋げていくには、九州経済界の力が必要不可欠だと考えている」と熱く語り、改めて協力を呼びかけた。
次回のセミナーは11月に開催予定。