Inside Asian Gamingは、アリストクラートのアジア太平洋地域ゼネラルマネージャー、ロイド・ロブソン氏と対談し、新型コロナが提示する課題にどう適応しているかについて話を聞いた。
ベン・ブラシュク:2020年は、この業界の誰も予想していなかった課題を提示しました。アリストクラートが過去12カ月間を乗り切 ったことについてどう感じていますか?
ロイド・ロブソン:2020年は誰しもにとって難しい年であったことは確かです。しかし、また未来に集中する機会を与えてくれた年でもありました。我々はいつもと変わらず、社員を一番に考え、彼らの幸せを支えるための様々な取り組みを実施しました。実際昨年9月からは、Wellbeing Fridays(幸せの金曜日)という制度を設け、従業員が週の終わりにより長い時間を家族や友人と過ごせるようにしました。この1年は、お客様にとっても厳しい年でしたので、アリストクラート・アシストやバーチャル見本市などの取り組みを通じて、お客様に寄り添い、支援することに全力を注いできました。
我々はコンテンツ開発に投資を続け、事実、この期間中スローダウンすることはありませんでした。この投資と、業界トップのコンテンツおよびハードウェアに注力してきたことが、2022年、当社のカスタマーサクセスを推進するのに役立つと確信しています。この混乱への対処法に関するルールブックはありませんでしたが、自分たちの時間を重要分野である『人』、『顧客』そして『製品』に投資してきたと感じています。
BB:2021年の見通しをどのように評価しますか?
LR:これは未来を占う時です。アジアでは、2021年が困難なものになることは間違いありません。非常に多くの市場が観光業に依存し、そして新型コロナウイルス感染症が今なお多くの国で蔓延する中、2021年は、カジノが理想として求めるような客の出足を期待するのは今後も困難でしょう。入国制限が緩和され、今よりも旅行がしやすくなるまでは、ゲーミング収益は引き続き鈍いままになると思います。
BB:アリストクラートの今後1年間の主な目標は何ですか?また、12カ月前から焦点は変わっていますか?
LR:私たちの目標はほとんど変わっていません。新型コロナによって一部の目標に力を注ぐのが加速しただけです。例えば、世界には依然、多くの不確実性があります。そしてその結果必ず従業員には一定レベルの不安感が生まれます。 私たちは従業員に焦点を当てることに固い決意を持っており、彼らが幸せに感じるための様 々な策を実施して、従業員エンゲージメントが強固であるようしています。
コンテンツとテクノロジーの企業として、アリストクラートは、革新を止めることなく、お客様のビジネスをサポートし、さまざまなプレイヤーの欲求に応える新しいコンセプトを生み出し続けます。当社の才能豊かな社員たちは、アジアの多くの国がロックダウンする間、開発パイプラインに継続して全力投球し、絶えず変化する市場で強力なゲームポートフォリオがすぐに利用できるようにすることで、今後の道筋に自信を植え付けてきました。
BB:2021年、我々は製品に関して何を期待できますか?
LR:アリストクラートは、危機の間もずっとゲームビルドを続けることで、アジア市場へのコミットメントを維持しました。その結果、2021年にはこれまで以上に強力なポートフォリオが出来上がりました。実際、我々は前年よりもアジアに特化した投資を多く行い、プレイヤーが施設に戻って来始めたときに、お客様をサポートできるよう様々なコンテンツをすぐに利用できる状態にしています。今後12カ月間は、リンク、スタンドアロンおよびスタンドアロンプログレッシブなど様々なタイプの新製品を多数リリースして、アジア市場の強化に専念します。
リンクでは、ラッキーフォーチュンリンクという新製品をデビュ ーさせる予定で、中国古典文学の有名なキャラクターである孫悟空と女帝武則天が登場します。ラッキーフォーチュンは、プレイヤーに人気のホールド&スピン機能に対応して作られたもので、最新のピクチャーペイ(Picture Pays)メカニズムと共にリリースされました。プレイヤーはラッキーフォーチュン機能の中で、幸運の干支を選択し、その干支の絵柄を集めるとボーナスクレジットやジャックポットを当てることができます。そして隣り合わせになったボーナスクレジットは合体し、より大きな絵柄となり、ボーナス金額が増えていきます。 旧正月にこの製品をスタートできたのは非常にうれしいことでしたし、「ネズミを送り出し、丑年を迎える(中国語で送鼠迎牛)」ということで、事業者にとっては宣伝する絶好のチャンスでした。
BB:多くの事業者が現在異なる事業環境を経験していますが、この地域の事業者たちと対話を続ける中で、事業者側が御社に求めているものに明らかな変化は見られていますか?
LR:事業者からはさまざまな反応があり、事業者の中には何もする準備ができておらず、GGRが回復するまでは新しいゲームやハードウェアへの投資を実質保留している会社もあります。一方で、お客様の中には、積極的な姿勢を崩さず、新たなコンテンツを求めている会社もありますので、我々は、お客様それぞれに合ったサポ ート、そして彼らがこの環境を乗り切れるよう協力することに重点を置いています。
BB:その前の質問に続いて、ゲームフロアでのゲームミックス、インストール、またはレイアウト要件に大きな変化はありましたか?
LR:繰り返しになりますが、それは市場によってかなり異なります。
革新してコアとなる新たなスタンドアロンコンテンツを提示する必要性を叫んでいる市場もあれば、その場所に合ったジャックポット設定を備えた最新のリンク型プログレッシブテーマを求めている市場もあります。レイアウトに関しては、地域全体で一部のオペレ ーターが仕切りを採用しているのが見られます。1台おきにマシンの電源を落としているカジノもあれば、社会的距離を確保するためにマシンやバンク(パチンコで言う『島』のようなイメージ)を離して設置しているカジノもあります。フロアレイアウトを最大限活用し、カジノフロアの利用を最適化するといった場合には、可能な限りお客様をサポートするようにしています。 お客様はそれぞれ異なります。私たちは、お客様の施設にとって合理的であるよう支援することをお約束します。
BB:今後数カ月、どの市場が最も盛況になると予想していますか?そしてそれこそが御社が狙いを定める場所でしょうか?売上という観点から見て、どの市場が他よりも回復に時間がかかると思いますか?
LR:私たちは困難かつ不確実な環境で事業を行っていますが、お客様をサポートするために迅速に適応し、対応できなければなりません。ベトナム、カンボジア、シンガポールなどの市場は、アジアの一部市場よりも好調となる位置にあるようです。売上という観点から、お客様が2021年を乗り切るための支援を行いながら、お客様に寄り添い、単なる取引相手から、ソリューションパートナーになれるよう力を注いでいきます。
BB:最近、コロナ禍で見本市が中止になり、顧客と直接出会う機会がなくなっていることへの対応として、新たにバーチャル見本市というコンセプトを発表されました。この新しいコンセプトの重要性と、それがどのように受け入れられているかについてお話しいただけますか?
LR:我々のDNAには、行動の全てにおいて革新的であるということが組み込まれており、展示会も例外ではありません。顧客を直接集めることができなかったとしても、私たちはバーチャルで関わる機会を求めていました。仮想化技術の導入というのは、今我々が利用できるコミュニケーション方法の1つに過ぎず、その結果、オンラインプラットフォームの取り組みは非常にうまくいっています。このバーチャル見本市で、お客様は最新の製品を見て回り、ゲームの仕組みや最適なパフォーマンスのためのさまざまなバンク構成について学びました。さらに、ゲームを補完し、会場フロアにまた別の違いを与えてくれるさまざまなサイネージオプションも紹介しました。私たちは革新の必要性によって進む方向を決めており、これはお客様をサポートし、ユニークな体験を提供するために採用した多くの方法の1つにすぎません。
BB:パンデミックは2021年には下火になり、最終的には収束するでしょう。しかしアリストクラートの顧客との付き合い方には、今度も影響が続くと思われますか?バーチャルの展示会や別のオンラインの機会というのは、おそらくパンデミックがなかった状況と比べて、今後もより大きな役割を果たしていくでしょうか?
LR:私たちが互いにコミュニケーションを取り、関わり合う方法というものは変わりました。 私たちはコロナ禍に適応し、革新し、これまでとは異なる方法で物事を行わなければなりませんでした。しかし、変わらないことの1つが、我々が顧客サービスとパートナーシップに焦点を当てているということです。私たちは引き続き革新的な技術ソリューションを活用していくと思います。しかし業界の仲間と顔を合わせて交流することへのニーズ、そうしたいと思う気持ちがなくなることはないでしょう。私たちは自分たちの仕事が大好きです。そしてこれからもお客様と共に革新し、常にお客様の期待を超える働き方を見つけられるようにしていきたいと思います。