マレーシアの格付機関、RAMレーティングスが、ゲンティンおよびゲンティン・マレーシアの格付をAAAからAA1へと引き下げ、新型コロナウイルスによる業績不振が予想されることからその見通しを「安定的(Stable」から「ネガティブ (Negative)」へと修正した。
RAMによると、今回の引き下げは、新型コロナウイルスの両社への最終的な影響がかなりの程度で不透明であることを反映しており、どちらに関しても今後2年以内にクレジットメトリックスが回復すると見られていないという。同格付機関は、このパンデミックは当初予想されていたよりもはるかに大きな打撃をゲンティングループに与えていると述べた。
RAMは、「少なくとも21年上半期まではゲンティンにとって(2019年比で)深刻な収益縮小があると予想している。危機前の水準にまでその利益が回復するのは早くても2022年になる可能性が高く、2021年に概ね正常化するとした当初の予想とは異なる。同グループは、コスト最適化策を実施してきてはいるものの、その利益への影響を完全に軽減できる可能性は低い。2020年度の減少の後の2021年度、ゲンティンのEBITDAは、取引高が中途半端な回復となる中で、危機前の水準を下回ったままになると予想されている」と述べた。
RAMはゲンティンのリゾートワールド・ラスベガス(RWLV)およびゲンティン・マレーシアのリゾーツ ワールド ゲンティンへの最近の資本的支出が、ニューヨークのリゾートワールド・キャットスキルズの事業者である米エンパイア・リゾーツの49%の株式取得と同時に起こったことで、2019年のマイナスのキャッシュフローに繋がったと指摘した。持続的な配当金と組み合わさり、ゲンティンのネットキャッシュ残高はすでに、2019年12月時点で24億リンギ(約611億円)の純債務となっていた。
RWLVにさらなる資本的支出が必要なこと、そしてキャッシュフローの弱さによって、ゲンティンのネットギアリング比率は2022年12月までに0.35倍ほどに悪化すると予想されている。その結果、RAMは「そのクレジッドメトリクスはそれまでのAAAの格付とはもう一致しない」と述べ、「ゲーミング部門は新型コロナウイルスから深刻な打撃を受けている。新型コロナウイルスに誘発された景気低迷が消費者所得及び財産に与える負の影響がゲーミングおよびレジャー活動への消費支出を抑制するだろう。同時に長引く新型コロナウイルスへの恐怖が、旅行計画に影響を及ぼし、商売を妨げる可能性がある。これらの余波は、衛生上の危機が落ち着き、渡航制限が緩和された後も残る可能性が高い」と述べた。