執行役員、社長兼最高執行責任者
サンズ・チャイナ
パワースコア: 2,623
昨年の順位: 7
評価理由
• サンズ・チャイナ初の中国人社長
• 建設と不動産開発の経験
• 政治的なつながりを多く持つ
2015年に社長兼COOとして初めてサンズ・チャイナに加わった時、政治的に聡明な抜擢だと見られていたウィルフレッド・ウォン氏は、同社が極めて重要なマカオカジノライセンス再入札プロセスに入る中で、今後数年間は充分な下積み以上を経験する可能性がある。
そのプロセスの詳細がまだ公表されていない一方で、この街最大のカジノ事業者が、マカオのホームそして遠く離れた北京の両方で当局者たちと持つ会合の中で重要な役割を果たすことは確実だ。特に、現在進行中の米中貿易戦争のおかげでアメリカ人が所有する企業が直面する難しいポジションを考えた場合は。
言うまでもなく、この67歳の博士は豊富なコネクションを持っている。
サンズ・チャイナに加わる以前、ウォン博士は様々な会社の最高幹部を務めてきた。マカオのライバルであるギャラクシー・エンターテインメント・グループの親会社、K ワー・インターナショナル・ホールディングスのルイ・チェ・ウー氏の下のポジション、香港を拠点とする民間会社で、中国で不動産開発・管理を行うヘンダーソン・チャイナ・ホールディングス、香港と中国大陸で不動産開発、建設そして建設資材などの株式を保有する香港のシュイオン・グループ、不動産管理・メンテナンスを専門にする香港上場のシンチョンの子会社、シナジス・ホールディングスなど。
もっとも最近では、香港拠点のシンチョン・コンストラクション・グル ープの取締役会会長を務めており、この会社はサンズ・チャイナが行う全てのマカオIRプロジェクトの仕事を請け負っていた。
サンズは近年、22億米ドルをかけてサンズコタイセントラルをザ ロンドナー マカオへと変身させるという野心的なプロジェクトに乗り出しており、このシンチョン・コンストラクションでの経験だけでも確実に役に立っている。ザ ロンドナー マカオは、2021年に完成すれば同社にとってザ ベネチアン マカオとザ パリジャン マカオに続く3つ目のテーマ型リゾートになる。
その間、ウォン氏の監督の下で、サンズ・チャイナは2019年にマカオのマーケットシェアトップの地位を取り戻し、アナリストたちは19年第2四半期の同社のGGRのシェアを23.2%と予想しており、主なライバルであるギャラクシーの20.6%を上回っている。とりわけ、貿易戦争や中国経済の不振など、数々の向かい風によってこの四半期は多くのマカオ事業者が勢いを失う一方で、サンズは堅実に持ちこたえただけでなく、収益は21.5億米ドルに1.4%の小幅のプラス成長、そして調整後EBITDAは7.65億米ドルへと2.0%成長した。
現地放送局のTDMとの9月のインタビューの中で、そのような堅実さの裏にある理由についてウォン博士は、同社の「成熟したマスマーケ ット」セグメントを挙げ、ライバル社と比べて「おそらくVIPセグメントの影響の多くから(他社に比べ)より離れている」と述べた。
事実、オープンしてから12年後、ザ ベネチアン マカオはこの街で最も人気の高い観光地の1つであり続けており、ザ パリジャンでの高い伸びがすぐ隣で発展する同様の傾向を示している。
サンズ・チャイナによると、マスマーケットテーブルでのベースウィンは実際、19年第2四半期に14.7%成長し、売上への同セグメントの貢献率を12カ月前の53%から56%へと押し上げた。
ザ ロンドナー構想が非常に魅力的に見えるのも当然のことだ。英語、広東語そして北京語を操るウォン博士は、マカオのアピールをより広い中国人観光客マーケットへと広げる重要性、そしてこれが将来にかけて長期的にもたらすことのできる機会であることを誰よりも理解している。