Inside Asian Gaming
2022 年 1月 IAG JAPAN 9 未来に投資 www.asgam.jp ベン・ブラシュク 編集長 あなたのフィードバックが必要です。 コメントは bb@asgam.comへ 送ってください。 社説 最 近、アジア太平洋地域に あるごく一握りのカジノ および統合型リゾート企 業の株を購入し始めた。 それほど興奮するほどの事でもない。い いかい、今すぐ南国に行って余生を過ごそ うなどとは思っていない。しかし、この仕事 をしている間に学んだことが一つあるとす るならば、それはこの業界では、物事は見 た目ほどに良い・悪いといったことはない ということだ。 現在、新年を迎えるにあたって、マカオ から韓国、オーストラリアといった国の事 業者たちは度重なる逆風に打ちのめされ ており、投資家たちが不安に感じているか もしれないというのは理解できる。 新型コロナの感染拡大が世界のホス ピタリティ業界を最初に壊滅させてから 丸2年、政府が国境を開こうと目論むその タイミングで、オミクロン株の登場に再び 意表を突かれる形となった。 韓国の外国人専用カジノから、かつて は破竹の勢いであったマカオのゲーミン グハブまで、越境ツーリズムに大きく依存 する法域は、継続して訪問者数の大幅減 によるプレッシャーを感じている。 同様に、中国による越境賭博の取り締 まり強化は、国境が再び開かれた時にで さえ、海外の事業者が中国人観光客を呼 び込むことができるかどうかに疑問を投 げかけており、国際マーケティング戦略と いう点においては考え直す時が迫ってい ることを示唆している。 明らかに、VIPセクターは2022年、全 面見直しに向かう。アジア最大のジャン ケットプロモーター、サンシティグループ が、CEOであるアルヴィン・チャウ氏の逮捕 を受けて、12月に全てのジャンケット営業 を停止した。これがジャンケット業界の死 を宣告するのかどうかはまだわからない ものの、今後その様子が変わっていくこと は間違いない。 皮肉にも、サンシティがクラウン・リゾー ツおよびスター・エンターテイメント・グル ープと持ってきた関係によって、既に規制 上の徹底調査の真っただ中にあるオースト ラリアでは、事業者たちがどのように中国 人VIPがいない中でその未来を修正するか をめぐる疑問が持ちあがっている。同じ質 問がこの地域の至る所で投げかけられて おり、一部のメディア組織は業界の未来に 疑問をなげかけるほどだ。ある人は大胆に も、これはアジアのカジノ中心地としての マカオの立場の終結を意味するとさえ指摘 した。そのような考えはばかばかしい。 2022年寅年のことを考えた時、私はア ジア太平洋地域のゲーミング業界が再び 唸り声をあげることに一切疑いを持って いない。マカオでは、クリスマスイブの4万 人の訪問者数(2021年で3番目に多い) が、これまで以上に需要が高まっているこ とを示しており、中国人の側では渡航控え というよりも、新型コロナによる入境制限 が続いているという理由のみで数字が抑 制されている。米国がここ数か月に示して いるように、繰延需要は本当に実在してお り、私は中国が国境を完全に開けば、マカ オが同じように反応すると予想している。 信頼できる確固たる国内市場を持つオ ーストラリアやフィリピンのような国では、 回復軌道はさらにいっそう強固であるよう に見える。 シンガポールの統合型リゾートは、コ ロナ禍でも驚くほど弾力性があり、リゾー トワールド・セントーサ(RWS)は国境が閉 鎖されているにもかかわらず、まずまずの 利益を生み出せてさえいる。国境が今、開 かれつつあり、中国のジャンケット取り締 まりがシンガポールの事業者にとって比 較的深刻でない可能性が高いことで(ライ センス付与をほぼ不可能にするほどにジ ャンケット規制が厳しい)、2022年は確実 に過去2年間の問題を大幅に改善するこ とを示す年になる。 カンボジアのナガワールドは他よりも 大きな問題に直面する可能性がある。モ ルガンスタンレーが最近、2019年のEBIT- DAの45%がVIPセグメントから、そしてそ の25%が中国人VIPから来ていたと予想 した。それでも、RWS同様、ナガワールドは プノンペンの大きな駐在員コミュニティの おかげで、コロナ禍に開業した際にも利 益をあげており、今後数年は中国との親 密な関係から恩恵を受けると予想できる。 機関投資家がこのセクターに慎重であ る一方で、ひょっとすると実際は、長年の 間で乗り込むのに最も良い時期がきてい るのか? それは時が経てば分かる。しかし、私に は良いベットのように思える。
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