Inside Asian Gaming
2021 年 12月 IAG JAPAN 49 コラムニスト 法案の中には、特別管理者の役割に任命された人がその地 位を占めるのに「適格」でなければならないという要件は含ま れていない。同法案は、特別管理者が当該カジノ事業者の関係 者でないこと、もし関係者であるとすれば、その役割につくため の適性評価を含む適性診断を受けることが求められる。IBAC の元コミッショナーが間違いなく「ふさわしく適当である」一方 で、そのような監督役の適性検査には、調査経験というよりもむ しろ、関連業界または規制など、ほぼ間違いなくそれ以上のも のが求められる。 同様に、特別管理者が補佐役に雇用する可能性がある契約 者に対しても、基準となる適性要件はない。その雇用条件は、 おそらく利益相反を防止し、秘密保持の約束を義務付けている が、誠実性評価無しに、表向きの親和性または評判にかかわり なく、機密性の高いまたは営業上センシティブな記録にアクセ スできる契約者がもたらす可能性のある危険の大きさを測るの は不可能だ。 特別管理者がクラウン・メルボルンの取締役として享受する 「権力と特権」が何であるかは不明だ。その人物は、どちらにせ よ取締役会や委員会の会合に参加し、記録を調べる権利を持つ ことになる。また、それら会合における大切な議論にも参加する こともできる。しかし、問題となる可能性があるのが、その人物が クラウン・メルボルン取締役の義務、職務、責任のいずれも持た ないという事実だろう。特に、その人物は同社、グループ持ち株 会社としてのクラウン・リゾーツ、または同上場会社の株主に対 しての信認義務を負わない。この非対称性は支払い能力がある オーストラリア企業では場合によっては独特なものになる。
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