Inside Asian Gaming
2021 年 10月 IAG JAPAN 9 www.asgam.jp 業界は終わるのか? ベン・ブラシュク 編集長 あなたのフィードバックが必要です。 コメントは bb@asgam.comへ 送ってください。 社説 マ カオのゲーミング監察協 調局が公表したゲーミン グ法改正案への「大げさ」 とも言われる反応が、中国 がそのカジノ領地内におけるギャンブル をどう見ているのかに関する興味深い疑 問を提起している。 一般的に、中国政府が大半の形式の賭 博行為に不快感を示しているのは良く知 られており、その通り、同政府が呼ぶとこ ろの越境賭博の取り締まり強化を積極的 に世界に知らせてきた。 過去1年程の間に行われた取り締まり 強化には、中国本土の客をターゲットにし たカジノを開業することで、同国のアウト バウンド観光市場を混乱させていると言 われている海外観光地の「ブラックリスト」 の作成や、中国で営業する全ての越境賭 博集団を壊滅させ、資金および技術チェ ーンを断ち切るための公安部による計画 などがある。また中国人民銀行は、賭博を 支援していると見られている金融セクタ ー内の「資金循環」をターゲットにすると 約束し、中国サイバースペース管理局は、 ウェブサイトやモバイルアプリを通じて領 域内でギャンブラーを勧誘する賭博グル ープや活動への独自の取り締まり計画を まとめている。 これを考慮すると、投資家が9月の待 望のゲーミング法に関する発表に強く反 応したことはもっともであり、24時間とい う時間でマカオのゲーミングコンセッシ ョンを保有する香港上場6社の時価総額 184億米ドル(2兆円)の26%が消失した。 改正案は細かい内容には触れていな かったものの、来年、既存のコンセッショ ンが有効期限を迎えた際に、新ライセン スがいくつ発行されるのかという不安感、 配当金支払い前に政府による許可を義務 付けるという計画、そして各コンセッショ ン保有者に、もしかすると取締役という資 格で、政府担当者を置くという可能性が、 答えを与えるよりも多くの疑問を生じさせ た。 最も劇的な内容としては、一部報道機 関がこれはマカオのカジノ業界の終わり であり、中国は明らかに数十億ドルもの 利益を生み出す日々に終わりを告げると 決意していると指摘した。 実際には、マカオゲーミング法への改 正案はそのようなことは示唆しておらず、 書かれていたのはマカオの人々が世界最 大のカジノ市場から確実に恩恵を被るこ とへの決意だった。これ自体は完全に予 想通りだった。 また、中国が領土の一つをこれほどま でに繁栄させた業界を停止させることで 何を得るのかということについても疑わ ざるを得ない。マカオの統合型リゾート の巨大な牽引力のおかげで、同業界から の税収は毎年、マカオの総税収の約80% を占め、それに助けられてマカオ政府は 6,640億パタカ(9.2兆円)という健全な財 政準備金を築くことができた。このような 時代には、緩衝材的な役割となり大変重 宝する。 今後数カ月の間にはマカオのゲーミン グ事業者の将来の状況がさらに見えてく ることだろう。しかし私は、業界が終焉す るようなことはないということに賭けても いい。
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