Inside Asian Gaming

2021 年 9月 IAG JAPAN 9 www.asgam.jp ダムの放流を待つのマカオ ベン・ブラシュク 編集長 あなたのフィードバックが必要です。 コメントは bb@asgam.comへ 送ってください。 社説 新 型コロナウイルスがマカオで初めて確認されてか ら18カ月以上が経過した今なお、我々は二歩進ん で一歩下がる状況にあるようだ。最近では、南京 市から始まった感染拡大が16もの省に広がった。 中国本土を襲ったこの最近の打撃は、訪問客数や収益の値で本当 の回復の兆しをついに目にし始めていたマカオのゲーミング事業 者にとって確実にタイミングが悪いものであった。 それでもなお、楽観的であるのにもっともな理由というものがま だ残っている。待望の経済回復だけでなく、さらに励みになるのが、 年末にむけて(そして2022年にかけて)入境口がしっかり開かれ始 めれば、普段よりも多くの人がマカオを訪れるというものだ。 それは米国を見ればよく分かる。 新型コロナの世界的感染拡大が始まって以来、累積需要の理論 が広く言及されてきたが、ここ数カ月に米国が示してきた事という のが、そのような累積需要は本物だということだ。 8月に米国ゲーミング協会が公表した数字によると、2021年4- 6月期、米国の商業ゲーミング収益は136億米ドル(1.5兆円)に達 し、それまでの四半期記録を22%以上も上回った。この数字はま た、2021年上半期の累計が248億米ドル(2.7兆円)に上ったことも 意味しており、米国は今年、商業ゲーミング収益において、2019年 に記録された436億米ドル(4.8兆円)を上回り、過去最高を記録す る勢いで進んでいる。 マカオはまだ、中国本土および香港各地で新型コロナの感染が 確認されていることによって入境口の全面再開には至っておらず、 そのようなレベルにまでは回復していない(香港から到着した人に はワクチン接種済の旅行者に「青色健康コード」制度を導入すると いう話はあるもののまだ2週間の隔離が義務付けられている)。 しかしながら、ここに至るまでの間に、ハイエンドの中国人客の 準備が整っており、チャンスが到来すればすぐにでも華々しくマカオ に戻るのを待っているという気配は見られている。サンズ・チャイナ のグラント・チャムCOOが20年第4四半期決算報告の中で、同四半 期を通じて訪問者数の一部しか回復しなかったが、フォーシーズン ズの小売モールは19年第4四半期の売上高を16%も上回ったと述 べた際には、そこまでは語られなかった。 チャム氏はその際「フォーシーズンズのモールテナント売上高(12 月)で最高を記録した、(中略)パンデミック前と後で見ても過去最 高の月だ」と述べていた。 さらに最近では、ウィン・マカオがハイエンドのゲーミングと高級 小売部門で同様の伸びを経験しており、同社は5月の大型連休に1 日当たり300万米ドル(3億3千万円)というEBITDAを記録するなど 短期間の急増が見られた。マット・マドックスCEOによると、ウィン・ パレスでの小売収益は、入境制限の厳格化によって再び影響を受 ける前に50%~70%増加していた。 明らかに待ち受ける道のりは依然厳しいものではあるが、回復 が本当に根を下ろした時には、ポツリポツリではなく大きな波がや ってくるということをこれらの証拠が示している。

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