Inside Asian Gaming

2021 年 6月 IAG JAPAN 9 www.asgam.jp ジャンケット禁止はアジアVIP部門 にとって不遇の時代を意味する ベン・ブラシュク 編集長 あなたのフィードバックが必要です。 コメントは bb@asgam.comへ 送ってください。 社説 ジ ャンケット」としても知られるアジアのVIP事業者は、こ こ数年多くの逆風にさらされてきた。しかし最近の兆候 を考えると、前途に待ち受ける課題は日を追うごとに、 その重要度を増している。 中でも特にここ数か月、どこか目立たずに進んでいた注目すべき展開 というのが、アジア・太平洋地域にある4つの国の少なくとも5つの法 域において、全てのジャンケットが禁止されるというものだ。 オーストラリアでは、ニューサウスウェールズ(NSW)州が最大手カジ ノ事業者であるクラウンに対して、22億豪ドル規模のハイローラー向 け施設、クラウン・シドニーのためのカジノライセンス保有に関する適 格性調査を行った。その調査で判明した罪が大いに白日の下にさらさ れ、それが全国の規制機関の目に留ったことによって、二つの州がジャ ンケット禁止令を出すに至っている。 西オーストラリア州が2月に先頭を切った後、5月にはNSW独立酒 類・ゲーミング局が、クラウン及びスター・エンターテイメント・グループ の両方がシドニーのカジノでの全てのジャンケット営業を終了させる ことに同意したと明かした。ビクトリア州はこれまで、そういった禁止 にまでは至っていないものの、将来、クラウン・メルボルンを拠点に営 業を行ういかなるジャンケット事業者もまずは規制当局からの承認を 得なければならないと布告している。 ニュージーランドのスカイシティ・エンターテイメント・グループは、 どうも優勢な風向きを感じているようで、独自でジャンケットを排除す る判断を下し、代わりに全てのVIP業務を社内で行う予定をしている。 まだ史上初のカジノライセンス付与という長いプロセスの途中段階 ではあるが、日本は4月初めにカジノ施行規則案を発表し、具体的に ではないものの、国内のIRではジャンケットを認めない方針であること を示唆した。その規則案はまた、あらゆる組織犯罪とのつながりを確 実に排除することも重視しており、日本は世界で最も厳しく規制され たゲーミング法域になるという憶測が一層深まっている。 また4月には、サイパンの連邦カジノ委員会がジャンケット活動に関 連するあらゆるライセンスの発行および更新を禁止する命令を出して いる。インペリアル・パシフィック・インターナショナルが今後もしインペ リアル・パレス・サイパンを再開することがあれば、事実上同社のハイ ローラー重視の営業は終了する形となる。 このサイパンの決定は、ギャンブル目的で中国人観光客を呼び込ん でいると言われている法域を狙いにした中国本土からの最近の脅しを 反映している可能性が高い。中国がコロナ後に渡航制限を課す予定を している観光地のブラックリストなど、その脅しによって、今後おそらく こういった動きはさらに海外へ波及していくだろう。ただしフィリピンな どの一部の国はこれまでのところ断固拒否している。 すでに新型コロナの感染拡大、そして最大のマーケットであるマカ オでジャンケットベースのビジネスからプレミアムマスへと徐々に移行 していることによって揺らいでいるジャンケット業界全体としては確実 に不安な時代だ。アジア最大のジャンケット、サンシティグループがIR 運営へとまっすぐ突き進むことで将来に備えているのも無理はない。 IAGが昨年書いたように、マカオのVIP部門のGGR貢献額はここ数 年減少してきており、過去最高となった2013年の293億3,000万ドル(3 兆2,000億円)から、2019年には140億ドル(1兆5,000億円)にまで下落 した。近いうちに待望の成長スパートがどこからやってくるのか、先は 見えづらい状況だ。 「

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