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2021 年 5月 IAG JAPAN 9 www.asgam.jp 時代と共に変化 ベン・ブラシュク 編集長 あなたのフィードバックが必要です。 コメントは bb@asgam.comへ 送ってください。 社説 4 月中旬、賀一誠マカオ行政長官は、中国のデジタル人民元を 正式な通貨として導入することを認めるため、マカオが金融 法の改正を計画しているという踏み込んだ内容の発言を行っ た。これは、マカオ特別行政区政府による政策方針の重要な 変化を示している。 中国政府は2024年までに中国経済にデジタル人民元を導入する計 画をしており、すでに深セン市、広東省、蘇州市、成都市、四川省、雄安 新区などの地域で2019年から実証実験を行っている。 しかし、これまでマカオ(またはそれに関しては香港)が追随するか どうか、マカオの法定通貨にパタカと香港ドルと並んで第3の通貨が追 加される可能性があるかどうかは明らかになっていない。 実際のところ、マカオ政府は、特別行政区に暗号資産(仮想通貨)を 導入する可能性を定期的に却下してきており、2018年には地元企業が 「ドラゴンコイン」と呼ばれる暗号資産を宣伝し始めたという報道を受 けて、金融管理局が一般向けに警告文を発表した。 その警告文には以下のように書かれていた。 「マカオ金融管理局は、地元住民に対して暗号資産は『仮想商品』 であり、法定通貨や金融商品ではないことを再度確認する。詐欺防止、 または犯罪行為への悪用に注意を払う必要がある。 マカオ金融管理局は、外貨両替、国境を越えた資金移動、または金 融取引プラットフォームの提供など、(中略)規制されている金融サービ スを提供するいずれの機関も、金融システム法の関連規定に違反して いることを繰り返し通告する」 そのような姿勢は2021年に変化したようだ。 賀一誠行政長官は4月、マカオ立法会に対して、「我々は継続して中 国人民銀行と連絡を取りながら、マカオでの人民元導入に関する実行 可能性調査を開始する。 したがって、我々は、デジタル通貨導入を可能にするために、関連法 に規定を追加する必要がある」と述べた。 行政長官が暗号資産導入に対してオープンであることを明かしたと いうことは、たとえそれが中国に支援されたものであったとしても、マカ オの金融の未来に関して言えば、重要な態度の変化を示している。 確実にそれは、同地区にあるカジノにとってのゲームチェンジャー として見られており、そして、デジタル人民元が中国政府による金の流 れへの監視を増大させるとはいえ、必ずしも悪い意味であるわけでは ない。デジタル人民元が、マカオがすでに大きな問題を抱えるVIPセグ メントに致命的な打撃を与える可能性があると見られている一方で、 アナリストたちは、仲介者を排除し、送金をより迅速かつ容易にするこ とで、実際にはより収益性の高いプレミアムマスおよびプレミアムダイ レクト(VIP)セグメントを後押しすると見ている。 これはマカオでのオンラインギャンブル合法化に向けた第一歩にな る可能性さえある。 暗号資産自体の概念と同じように、マカオの当局は過去、オンラ インギャンブルの合法化に抵抗を示してきたことは良く知られてる が、2020年にゲーミング収益を80%近くも減少させた新型コロナを受 けて、当局はそのホットな話題をめぐる発言を軟化させてさえいる。 昨年IAGが、これはオンラインギャンブルに関する協議が現在行わ れているということかと問い合わせた際、ゲーミング監察協調局は、 「政府は業界の発展に役立ついかなる提案にも耳を傾けるだろう。し かしながら、インターネットまたは電話を通じた賭博にはリスクがある ために、政府はその判断を慎重に検討しなければならない」と答えた。 マカオはようやく、時代とともに変化しているようだ。
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