Inside Asian Gaming
2021 年 5月 IAG JAPAN 35 そして、注目すべきは、長い間VIPセクターに吹き付けている逆 風というのは、その大部分が新型コロナの感染拡大とは無関係で あり、実際のところ、この地域のライバルたちをさしおいて、マカオ の事業者をさらに後押しする可能性があるという点だ。 中国当局は2020年上半期以降、いくつもの声明を出し、越境ギ ャンブル、特にギャンブル活動に中国人観光客を勧誘していると見 られる個人や地域に対する様々な取り締まりを約束している。中 でも、中国文化観光部は8月、中国本土客をターゲットにしたカジ ノをオープンすることで、同部が言うところの国のアウトバウンド観 光市場を混乱させている海外観光地の「ブラックリスト」を作成し たと発表した。同部は、ブラックリストシステムによって、海外の都 市やブラックリストに記載されている景勝地に行く中国人には旅 行制限が課せられると説明した。ただし具体的な地名などは明か されていない。 今年に入って、中国公安部は、主にオンラインギャンブルサイト の運営者やジャンケットを標的としていると見られていた脅しの中 で、「ギャンブル、オンラインギャンブル、またはギャンブル活動のた めの資金や技術サポートの提供」に関与する人を追跡するために 追加の資源を配置することを明言した。 バーンスタインのヴィタリー・ウマンスキー氏とティエンジャオ・ ユー氏は、それらの活動はマカオを対象としておらず、代わりに外 国での賭博を制限し、関連する資金流出を減らすことを目的とし ていると確信している。 彼らは2月、以下のように書いていた。「我々は、長期的には、(中 国で深刻な問題になっている)違法オンライン賭博を根絶しようと 努力し、海外での賭博を難しくする中国の行為はマカオにとってプ ラスになると見ている。というのも、マカオは中国国内でゲーミン グ行為をしに行くための安全な場所と見られているからだ。 より大きな影響は、流動性の懸念からすでに圧力を受けている (マカオのローリングビジネスの約80%を占める)ジャンケットVIP だ。マカオのジャンケットエージェントは中国で目立たないように 営業しており、彼らの活動は常に怪しいグレーゾーンに入ってきた。 巻頭特集
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