Inside Asian Gaming
2021 年 3月 IAG JAPAN 65 ニ ューサウスウェールズ(以下NSW)州のカジノ調 査を受け、ビクトリア州ギャンブル規制当局の窮 迫は、紛れもなく厳しさを増している。対抗する 意見は支持を得られない。結局のところ、陰謀や スキャンダルをネタに出来るなら、熟慮した厳密 な分析や反論に注目する理由などそこにはない。 私たちは皆、メディアのレンズがときに欠陥のある物語になった としても、好まれる物語が優先され誇張されることを理解している が、その物語の主人公がジェームズ・パッカー氏、クラウン・リゾー ツ、ビクトリア州ギャンブル・酒類規制委員会(VCGLR)、またはギャ ンブル全般である場合には、よりそのように感じる。 クラウンを大々的に悪者扱いし、その過去の取るに足らないと は言えないコーポレート・ガバナンスやマネーロンダリング防止/ テロ資金供与対策(AML/CTF)の失敗を扇動的に扱うことは、ビク トリア州規制当局に対する残酷な評価のように、抵抗できないほ どに流行っている。 私がこの軽率で熱狂的な話に抱いている問題は、理由のある 慎重な観点が欠けていることや、ある見方をすると、他部門におけ る驚くべき失敗と比べて欠点を不誠実に誇張していることを除き、 ギャンブルとAML/CTFの法律と規制の取り決めを把握しきれてい ないということだ。 反マネーロンダリング監視やギャンブル規制に関連する連邦と 州の規制や法執行の取り決めと責任をしっかりと理解しているこ とが、共感できる報道の前提条件となるはずである。現れたばかり のカジノと反マネーロンダリング規制の専門家集団は、規制当局 とクラウンに疑惑のある不作為や能力不足を反省するよう大急ぎ で求め、健全なカジノの監視を補うのに必要な措置を確かに見込 んで判決を下している。これらの露骨な声明は話に沿ったもので あり、メディアでは誇張されているものの、説得力のある評価や批 判にはひどく欠けるものとなっている。 残念なことに、NSW州のギャンブル規制当局の有効性と、唯一 のシドニーカジノやより広範囲となる同州のギャンブル部門の運 営と実績を検証する代わりに、この調査では犯罪科学の観点と潤 沢な資産を、メルボルンとパースを拠点とするカジノの過去の運営 やCPHとメルコの株式売却取引に適用して、規制違反と不正行為 を調べていたのだ。 コラムニスト
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