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2021 年 2月 IAG JAPAN 39 巻頭特集 用の箱とともに過ごした幼少期に自身のユダヤ人としてのアイデ ンティティが築かれたと考えている。 イスラエルを初めて訪れた際、アデルソン氏は父親の靴を身 に付けていた。アデルソン一家は、ユダヤ人およびシオニストの理 念に何億米ドルもの寄付を行った。その中には、ヤド・ヴァシェム (ホロコースト記念館)、ユダヤ系アメリカ人の若者のイスラエルへ の旅をスポンサーする非営利ユダヤ教育団体「タグリット・バース ライト(Taglit Birthright)」、そしてネバダの家にほど近い2人の息 子が通ったイスラエル系アメリカンスクールなどへの寄付が含ま れていた。 2007年、アデルソン一家は、日刊フリーペーパー「イスラエル・ハ ヨム」を発刊し、間もなく国内トップの発行部数を達成した。ハヨム は、極右の政治的立場を支持しており、パレスチナ国に反対し、占 領地への入植を推進していた。アデルソン一家は、リクードのベン ヤミン・ネタニヤフ党首を長年支持した同新聞に5,000万米ドル以 上を投資したと伝えられている。アデルソン医師と最初の夫との間 に生まれた2人の娘の1人、シヴァン・デュモン氏がハヨムで積極的 に活動していると伝えられており、2018年アデルソン医師の名前 が発行者に記載された。 2015年、アデルソン一家は、シヴァン・デュモン氏の夫で当時 LVSのシニアバイスプレジデントを務め、現在は社長兼COOになっ ているパトリック・デュモン氏が仕組んだ取引で、ネバダ州で多数 の発行部数を誇るラスベガス・レビュージャーナルを買収した。ア デルソン氏の動機というのはより友好的な報道(LVSに批判的な記 者の一部はこの取引を受けて退社)、そしてより大きな政治的影響 力だったかもしれない。ラスベガス・レビュージャーナルは米主要 紙の中で唯一2016年の大統領選でドナルド・トランプ氏を支持し た。 アデルソン一家は麻薬撲滅活動にも資金を提供した。アデルソ ン医師は依存症治療を専門とし、イスラエルと米国にあるクリニッ クで精力的に活動している。長い間中毒に苦しんだアデルソン氏 の最初の妻との間に生まれた長男のミッチェルは、2005年に薬物 過剰摂取で亡くなった。 アデルソン氏にはその結婚で生まれた息子が2人、娘が1人い た。ミッチェルとその弟であるゲイリーは、COMDEXコンピューター トレードショーに持っていた株の買戻し価格をめぐってアデルソン
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