Inside Asian Gaming

2021 年 1月 IAG JAPAN 83 これにはラスベガスでの豊富なディーラー経験を生かし、現在 は大阪で人気のカジノスクール「IR Gaming Institute JAPAN」の 代表を務める片桐ロッキー寛士さんも大きくうなずく。 「訪日外国人の勝ち分に課税しようとするなんてナンセンス。 あまりにも市場を知らなさすぎです。国外にライバルはたくさん いる。あり得ないことだと思っていたので非課税には、ひと安心し ました」。 その一方で、IR事業者からは日本人カジノ利用客も非課税にと いう根強い意見があったのも事実。カジノプレーヤーとしても経験 が豊富で両者の立場を知るロッキーさんもこう分析する。 「カジノでの個々のやり取りを1回1回記録するのは無理があ る。勝負は1回1分もかからない。それを重ねて行くわけで、他のギ ャンブルとは趣が違う。 できれば、日本人の課税もやめてほしかった。入場料も6,000円 とか払うわけでハウスヘッジもある。そこへ持ってきて、必要以上 に徴収すると市場としての魅力がなくなり、だったら海外のカジノ に行こうとなる。高額プレーヤーほど、その傾向は強いと思うし、 最終的に利用客全体へのサービスも低下していくのではないか」。 高額配当への課税は致し方なしか IRが開業した場合、何より大切なのはそこに人が集まり、雇用、 福祉、教育面などにお金が程よく循環することだろう。ロッキーさ んが言う。 「導入するとすれば、高額配当を受け取った場合のみでしょう ね。 ラスベガスで言えばスロットマシンで1,200米ドル以上、テーブ ルゲームで300倍以上の配当、もしくは5,000米ドル以上もうけた 場合に課税(24%のフラットレート)となるので、日本でも同じよう な形が望ましいのではないでしょうか」。 確かに、私自身も思い当たる節はある。韓国競馬(KRA)のソウル 競馬場で運良く万馬券を的中。その際、KRAのルールに従い、外国 人の私もその場で課税され、払い戻し額は予定より少なかったが、 場内の雰囲気も含めたホスピタリティーは充実しており、気分はそ れほど悪くなかった。KRAの幹部職員に「このお金は福祉や教育に 使われます」と言われ、納得したものだ。 ギャンブルが準ずる国内の公営ギャンブルの税制 は? 国内の公営ギャンブル(競馬、競輪、ボートレース、オートレー ス)に目を移すと「払戻金」に対する税制が定まったのは、競馬の 馬券の払戻金が一時所得か雑所得のいずれに該当するか、が争 われた複数の馬券裁判による。 日本

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