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2020 年 12月 IAG JAPAN 81 日本 昨 年11月、準備不足を理由に区域認定の申請を 見送った北海道。あれから1年が経った。2019 年11月29日は、地方型IRにおいてポテンシャ ル№1とみられていた北海道が国への区域認 定への申請を見送った日だ。このとき、鈴木直 道知事は道議会で「IR誘致に挑戦したいとの思いに至ったことも あった」としつつ、熟慮の結果「今回の区域認定への申請は見送 る」と表明。事実上IR誘致レースから撤退した。 その際の大きな理由に挙げられていたのが調査までに2~3年 かかるとされた環境アセスメント。候補地の苫小牧・植苗地区は新 千歳空港(千歳市)に近く広大な用地も確保できていたが、鈴木知 事は「候補地は希少な動植物が生息する可能性が高く、限られた 時間で環境への適切な配慮は不可能」と判断した。 その一方で、知事は開業時の投資額が2,800億円~3,800億円、 施設全体の年間売り上げが1,600億と試算されたIR効果を認識。 過疎化などで先細りしていく北海道経済を鑑み「地域経済、社会 に大きなインパクトを与え、持続的な発展に寄与するプロジェクト だ。来るべきときに挑戦できるよう、所要の準備をしっかりと進め る」とも述べ、将来的な含みを持たせてもいた。 IR汚職とコロナ禍のダブルパンチ だが、その後にまさかの新型コロナウイルスの感染拡大や汚職 事件の表舞台になったことの影響をまともに受け、IR整備計画は 停滞したままだ。それは何も北海道に限ったことではなく、すべて の自治体に言えることでもあったが、北海道がIRレースから完全に 脱落したとみる識者も少なくなかった。 国は成長戦略の目玉のひとつとしてIR整備を推し進めてきた。 インバウンド客の増加による経済効果や税収増が見込めるという 触れ込みは、あながちミスリードではなかったが、コロナ禍では、 その大前提が崩れてしまったと言っても過言ではないだろう。実 際、現実問題として優先課題ではなくなっている。 申請期間延長にも進展はなかったが… そんな中、申請主体となる北海道の鈴木知事は沈黙を続けて

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