Inside Asian Gaming
2020 年 9月 IAG JAPAN 51 「この信用法によって実際にカジノ自体が、ジャンケットに信用 貸しで前金を提供できるようになった。 もっとも、彼らはジャンケットにかなりの額を預けるよう求める ことでそのリスクを支えていたが、そうであったとしても、そこには ある程度のリスクはあった。そしてジャンケット自身はそれらカジノ との間にあった信用と前金を利用してより価値の高いプレイヤー へと向かい、集めることができた。 これもまた、チップランナーやその他が屋内に移動することを 意味していた。彼らは通りの闇を出て、カジノの中へと入り、文字通 りVIPルームのケージ(両替所)とテーブルの間でチップを走らせる 人になった。勝ったチップを取って、それをその人物が約束のロー ル額を満たすまで、デッド・チップに交換する」。 グリーン氏は、マカオのゲーミングプロモーターの監視は、必然 的に米国やオーストラリアといったより厳しいゲーミング法域で期 待されていたであろうものよりもやや「緩め」ではあるものの、ジャ ンケットが路上から姿を消し、直接IRに入ったという事実によって 事業者たちは、何が起こっているかにより細かく注意を払わなけれ ばならなくなっている。 同氏は説明する。「(ジャンケットが)コンセッション保有者との契 約の下での営業を義務付けられている限り、コンセッション保有者 は彼らの営業をしっかりと管理する。 現在では、標準的なジャンケット契約には、反マネーロンダリン フォーカス グ報告書で求められる全ての情報を提供すること、コンセッション 保有者からの指示に従うこと、そして特に社内管理要件に従うこ とを求めており、実際正式な規則ではない追加の層が加えられて はいるが、ジャンケットが法を遵守しているということを保証する ことは明らかにコンセッション保有者のためになる。ジャンケット が法を遵守しなかったことで、(コンセッション保有者から)契約を 解除されて立ち退きとなった例はこれまでにたくさんある」。 2018年、マカオのコンセッション保有者たちは、ジャンケットパ ートナーを注意深く監視しておくべき必要性を目の当たりにした。 控訴裁判所(TSI)が、2015年のジャンケット事業者ドア・エンターテ インメント(Dore Entertainment)の従業員による投資家預金600 万香港ドルの窃盗事件についてウィン・マカオに連帯責任がある ことを認める判決を下した。その額は、同従業員が関わったはるか に巨額の窃盗事件の一部で、予想では7億香港ドル(約96億円)近く にのぼるとされており、4人の投資家がウィンとドアに対して訴訟 を提起した。 そのうち言い分が認められたのは1件のみではあったが、TSIの 判決は、ジャンケットが第三者に与えたあらゆる損害に対して、コ ンセッション保有者はカジノ内で活動を行うゲーミングプロモー ターと連帯で責任を負うと見なされることを明確にした。 マカオにある法律事務所MdMEから提供された要約によると、 「この裁判所の判決が明確にしているのは(中略)、立法者の意図
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