Inside Asian Gaming
2019 年 6月 IAG JAPAN 27 Kangwon Land opened its Water World theme park last July. 江原ランドのウォーターワールド遊園地は昨年7月にオープンした 巻頭特集 2 008年以降、江原ランドのカジノは所有者からの最も風変 わりな指令の下で営業してきた。それが収入の制限だ。外 国のパスポートなしで入場できる韓国唯一のカジノの経 営は、常に政府のレベニューキャップ(収入上限)を上回っ てきた。しかし昨年、江原ランドは削減に失敗し行き過ぎ となった。ゲーミング粗収益は8%の減益となり、利益は32%下落し た。この政府管理の事業者は今年、より良いバランスを保ってはいる が、長期的な課題は残る。 ソウルにあるCGS-CIMBのアナリスト、ジュン・リム氏は「悪循環 だ」と話す。「レベニューキャップに合わせるために成長を制限しよう としてきた。それが顧客体験という点で営業環境の悪化につながっ た」 2016年に過去最高の1,870億ウォンを稼ぎ出したことで、政府のゲ ーミングレベニューキャップを4年連続で超えてしまい、経営陣は収 益の成長を抑える圧力の増加に直面した。その圧力は、朴槿恵前大 統領がスキャンダルの中で罷免されたことで、文在寅氏が大統領に 就任し、当局が江原ランドの元CEO、崔興集(チェ・フンジプ)氏の在職 中(2011-2014年)の縁故採用疑惑を再調査したことによって、2017年 半ばに強まった。 自己管理 JPモルガンのアナリスト、DS・キム氏とショーン・チュアン氏は、江 原ランドが「総ゲーミング量を削減し、VIPメンバーシップを管理する ことで、今年積極的に収益をコントロールし始めた」と2017年に書い ていた。彼らは、どの時点においても、180台あるメインフロアのゲー ミングテーブルのたった120台にしか従業員は配置されていなかった と伝えた。江原ランドは、2017年にゲーミング粗収益が6.5%減、営業 利益は33.1%減少したことで、再度上限を上回りはした、6%の800億 ウォンだった。減少傾向は年の後半に近づくにつれて加速し、その勢 いは2018年にまで持ち込まれた。 営業時間を20時間から18時間に短縮し、メインフロアのゲーミン グテーブルを180から160台に、そして従業員が付いたのは110台の みにしたことで、JPモルガンによると、江原ランドの14兆ウォンのゲー ミング収益は上限を超えなかった。訪問客は8.4%減の285万人に減 少し、2011年以降初めて300万人を下回った。オリンピックによる影 響は外国人訪問客数やゲーミング以外の収益に目立った増加をも たらすことはなかった。 今年の第1四半期はその減少傾向を止めた様子で、ゲーミング収 益は1%減、総収益は横ばい、そして営業利益は1%減となった。JPモ ルガンのアナリスト、キム氏とクリストファー・タン氏は、18年第1四半 期から一度限りのオリンピックプロモーション費用を除くことで、営 業利益を13%減に転換させると指摘する。しかし、それでも前四半期 と一年間では改善しているため、比較的上向き傾向となる。5月13日 から江原ランドは営業開始時間を2時間遅らせて正午から午前6時ま でとした。これはソウルからの仕事終わりの訪問客の増加につなが るはずだが、従業員への残業代が増えることで利益は抑制される。 問題の修正 国家ゲーミング管理委員会(National Gaming Control Commit- tee)の担当者は、2014年以降GDPの0.54%に設定されている上限の 算出方法の見直しに取り組んでおり、アナリストは収益の成長を制 限することへの圧力が緩和されると予想している。CGS-CIMBのリム 氏は、これは混雑を緩和し、プレイヤーにより充実した体験を提供す るためにより多くのテーブルを開放することにつながる可能性があ り、新たな成長へのお膳立てだと見ている。 同氏は、江原ランドに与えられた韓国人の向けカジノの独占権が 2025年に期限切れを迎えた際の国内競争の脅威を否定する。 リム氏は、「他の場所に現地住民用のギャンブルができることはあ り得ない」と言い、その理由として、「ギャンブルを拡大させ収入を得 続けたいという政府の願望に対する、世間の懐疑的な目」を挙げた。 同氏は、本当の脅威は、江原ランドに到着する時間内で、飛んでいく ことのできる日本のカジノから来るだろうと考えている 。
Made with FlippingBook
RkJQdWJsaXNoZXIy OTIyNjk=