Inside Asian Gaming
2019 年 5月 IAG JAPAN 43 フォーカス ド ナコ・インターナショナルでは、同社にスターベガ スを売却したタイの政治家との不和によってプロ パティEBITDAが半減し、同時に2つの地域で行わ れている法廷闘争にも巻き込まれており、同社の 将来の「戦略的見直し」につながっている。 混乱の渦中で、専務取締役/CEOであるジョーイ・リム氏が休職し、その 後「雇用契約終了」、そして保有株式は没収され、担保付貸し付けのス ペシャリストである現在の筆頭株主の手に渡った。同社がスターベガ スを購入した時には0.60豪ドル以上で取引されていた株式は、0.10豪 ドル(約8円)以下にまで落ち込んだ。 中国の雲南省とベトナムとの国境にあるアリスト・インターナショナ ルも所有するドナコがどのようにしてこのような状況に陥ったか、そし てこれからどうなる可能性があるのかについての要約は以下の通り だ。 2015年、ドナコは自らが「転換的買収」と呼ぶスターベガスの買収 を行った。スターベガスはカンボジアのポイペトに位置し、バンコクか らは車でたった3時間の最も近いカジノ施設だ。ソンブーン・スックジァ リュンクライシ氏がスターベガスを3億6,000万米ドルで売却し、その中 には当時で1億2,000万米ドルに相当するドナコ株式の18%、1億4,800 万株が含まれていた。 ドナコの執行役員、ベン・リーシェル氏は、「彼の持ち株を他の株主 と揃えるために3分の1の価格でその取引を組み立てた」と語る。 リーシェル氏は、カンボジアの法律そして規制の状況を考えるとド ナコは最初からスターベガスを買収するべきではなかったとする批判 を「怠慢」として切り捨てる。オーストラリアの元規制当局者で、現在は アジェンダグループに所属するピーター・コーエン氏は、「規制当局の 管理不足自体が問題だとは思わない。しかし、どこで営業を行っていよ うともオーストラリアに上場する企業は全てAML(マネーロンダリング 防止法)と汚職防止のルールを遵守する義務がある」と語る。 ドナコはその部分ではつまずいていない。 高いマージン ドナコはソンブーン氏に対して2017年6月30日までの2年間、スター ベガスを運営する契約を与えた。同氏は年間6,000万米ドルのプロパテ ィEBITDAを保証し、60%の利幅でその目標を達成した。そしてEBITDA のおよそ3分の1に相当する運営手数料を稼いだ。専門家は、その手数 料は高額ではあるが、高すぎる額ではないと言う。 しかしその2年間、全てがスムーズに進んだわけではなかった。買収 や5,500万米ドルのアリストの本格展開が中国とベトナムの緊張関係 に巻き込まれ、習近平国家主席が汚職を厳しく取り締まったことによっ て、ドナコの株式は下落した。タイ国王が2016年10月に崩御し、服喪 期間がポイペトの収益を減少させた。 スターベガスから道を挟んで反対側にあるソンブーン氏のスターパ ラダイスホテルは2016年にゲーミングエリアを追加した。ドナコは、ス
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