Inside Asian Gaming

2019 年 4月 IAG JAPAN 53 日本 のヒントが得られる勉強会が、去る3月に一般社団法人・日本IR協会の 主催で開かれた。 IRの開発戦略事業コンサルティング会社、マレー・インターナショナ ル代表のナイル・マレー氏は、「まず3カ所からのスタートは最善の策。 大都市、その近郊、そして地方都市に分かれれば理想的かな。長い目 で見て、いいテストになるでしょう。 むろん、それぞれのMICEの規模は違って当然。ドイツには10万㎡以 上の展示会場が10カ所もあります。将来、日本でも拡大していくはずで す」と、日本版IRの可能性を示した。 パラダイムシフトが起きる  米大手のIRオペレーター、シーザーズ・エンタテインメントからは 4人のMICE専門家チームが招かれた。 「MICEを中心にパラダイムシフトが起きるでしょう。 まずは周辺のホテル。MICE参加者がアクセスしやすい近場に、3,000 室規模のホテルが3つあったっていい」 こう話すのはマイク・マッサーリ最高営業責任者だ。現在、日本にあ るホテルで客室数3,000室を超えるのは東京の品川プリンスホテルの み。 加えてマッサーリ氏は、「IRにMICEのようなビジネス目的で来る人 は、観光目的の客層より明らかに滞在中の支出額が多い、というデー タがありますよ」と。MICEによる経済効果の大きさを示した。 スティーブ・ヴァン・ダー・モーレンVPは、「MICEにはこれだけ多くの 人が集まる。事前にエコシステムを確立させることが重要です。 我々はアトランティックシティの新たなMICE(2015年開業)でそれに 成功しています」と述べた。 このシステムについては、政府・自治体と強い連携を保ちながら実 現された。 キャンパスタイプのIR 「Google社のテックキャンパスをご存知かと思います。オフィスを 中心にいろいろなエンターテインメントやアクティビティが備わってい る。IR施設も同じです。1つの場所で多くの体験ができて、それぞれのア クセスがいい。『キャンパスタイプ』のIR、大きな魅力だと思います」 シーザーズ・フォーラムは5万1,000㎡の会議スペースを擁し、世界最 大規模=1万㎡の大会議場を2場備える。最新のハイテク技術によって 仕切りを制御し、広大なスペースを様々なサイズの小会議室にレイア ウト変更できる(1,000パターン以上)という。さらに、ラスベガスのストリ ップ大通りから徒歩圏内とアクセスも抜群だ。 日本版IRのMICEは後発のアドバンテージを生かし、現在あるMICE 施設を十分に参考にしながら、最新鋭のテクノロジーを駆使したもの を創ることができる。 まさしく〝世界最高水準〟の、オリジナリティーあふれるMICEを期待 したい 。

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