Inside Asian Gaming
2019 年 1月 IAG JAPAN 21 マ カオ政府が、マカオの6つのゲーミング・コンセッショ ン(営業権)とサブ・コンセッション(部分営業権)の ための再入札プロセスの詳細をリリースすると公約 した6 カ月 後、2018年の終わりにSARから出てきたビ ッグニュースは、まったくニュースがないというもの だった。 11月中旬に行われたMGSサミットでのパネルセッションで、情報 公開のタイムラインの見込みについてレポーターに圧力をかけられ、 マカオゲーミング監察協調局のパオロ・マルティンズ・チャン局長は、 その問題に関するたくさんの質問への明言を避け、 「皆さん、この質 問に関して大変懸念しているようですが、関連情報は何もお伝え出来 ません。もちろん、SAR(特別行政区)政府は決断を下す予定をしてお り、DICJもこの話し合いに参加する予定です」と述べるに留まった。 2日後、崔世安(さい せあん)マカオ特別行政区行政長官もまた同 様に、再入札問題について、政府は2022年に期限切れとなるギャラク シー・エンターテインメント・グループ、サンズ・チャイナ、ウィン・マカオ そしてメルコリゾーツのライセンスよりも早い2020年に期限切れを迎 えるSJMホールディングスとMGMチャイナのライセンスにまだ「どう対 処するかを検討中」とし、ほとんど情報を提供しなかった。 これにより、米調査会社のテルセイ・アドバイザリー・グループは、 政府の計画に関する情報不足について深刻な懸念を伝える文書を発 表した。 テルセイのブライアン・マックギル氏とアレク・カミングス氏は「ゲ ーミング・コンセッションの更新を取り囲む情報が不足していることに ますます懸念を募らせている。 去年の施政方針演説で、崔長官は2018年中頃がこの問題に取 り組む適切な時期であると発言した。さらに、昨年マカオ政府はゲーミ ング業界のコンセッションの更新について2つの調査を依頼し、その両 方が2018年の第3四半期までに完了する予定だった。 もう第3四半期ではないのは明らかで、2018年中頃もとっくに 過ぎている。これを前提として、現在の米中の地政学的緊張関係を考 慮しながら、我々はこの状況に絶えず注目している」と述べた。 その全てが答えの見つからない疑問を抱かせる。政府による情報 公開の遅れは本当に懸念材料なのか、最終的に詳細が明らかにされ た時、再入札プロセスから何を期待できるのか? マカオの法律事務所、CA Lawyersのパートナー弁護士ホセ・アル バレス氏によると、2020年3月31日まではSJMのコンセッションの期限 が切れないことを考えると、単に遅れていると言うだけでは誤解を招 いてしまうという。 「最初の入札が2001年11月1日に公表され、関心のある団体に は提案書の提出にたった1 カ月 しか与えられなかったことを皆さんお 忘れのようです。事前選択の決定はたった2 カ月 ほど後の2002年2月8 日に公表されました」アルバレス氏はこう指摘する。 MdMEのカルロス・エドゥアルド・コエーリョ氏は、マカオ政府はま た、日本で採用される新たな法的枠組みを考察し分析するのを待って いる可能性があることを指摘している。 「日本はマカオにとってこの地域で最大の競争相手になる可能 性があると見られているため、政府は将来の自国の戦略を明らかにす る前に静観するつもりかもしれない」と説明している。 しかしながら、さらに重大なことは、マカオのゲーミング法で認め られているように、マカオ政府が単にSJMとMGMのコンセッションを 2022年まで延長するという可能性である。これは、SJMとMGMの期限 を残りのカジノと合わせるだけでなく、再入札プロセスを決定するまで 当局には2年間の猶予を与えられることになる。 もしそうであれば、より核心を突いた質問はタイミングというより も、再入札プロセスが最終的に始まった時にそれがどのようなものに なるかということだ。 注目すべきなのは、既存のオペレーターの単純なライセンス更新 は不可能であるということだ。というのも、マカオの賭博法の中でその ような決定を許可する規定はないからだ。 「日本はマカオにとってこの地域で最大の競 争相手になる可能性があると見られている ため、政府は自国の将来的な戦略を明らか にする前に静観するつもりかもしれない」 – カルロス・エドゥアルド・コエーリョ 特集記事
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