長崎県にあるテーマパーク「ハウステンボス」が香港の投資会社「PAG」に売却されることとなった。旅行会社大手「エイチ・アイ・エス」(HIS)などの株主が売却の方針を30日、正式に発表した。
「ハウステンボス」運営会社の株式約66%を保有する「HIS」のほか、株式を保有する、九州電力、西部ガスホールディングス、九電工、JR九州、西日本鉄道の5社も売却を決めた。売却総額は約1000億円。
売却先は、香港に拠点を置く「PAG」系の投資目的会社で、総額約1,000億円で売却する方針。売却後もハウステンボスの営業は続けられる見通しだ。現在、長崎県が隣接地にIR(カジノを含む統合型リゾート施設)の誘致を目指している。
ハウステンボスは1992年に開業した長崎県佐世保市にあるリゾート施設。総開発面積152ヘクタールで単独テーマパークとして日本最大規模。「ハウステンボス」(Huis Ten Bosch)は、オランダ語で「森の家」の意。オランダのベアトリクス王女が住む宮殿の一つ、ハウステンボス宮殿を再現している。2003年には経営不振により、会社更生法の適用を申請して経営破綻。投資会社の支援で再建を目指していたが、2010年にはHISの傘下に入り、経営を立て直してきた。しかし、HISは新型コロナの影響による海外旅行事業の業績が悪化。2022年4月中間連結決算では、中間期として過去最大となる約269億の最終赤字を計上していた。
長崎県はカジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパンを中心とするSPC「KYUSHUリゾーツジャパン」を中心とし、佐世保市の「ハウステンボス」隣接地にIRを誘致する計画。2027年秋頃の開業を目指している。開業5年目の年間売上高は2,716億円、年間来訪者は673万人、運営による経済波及効果は3,228億円と試算している。
IRを巡っては、長崎県と大阪府・市がそれぞれ国に整備計画を申請をしており、国は今年中にも認定の可否を判断する。