衆院予算委員会で6月1日、立憲民主党の山岸一生議員がオンラインカジノについて質問し、岸田文雄総理が答弁した。
山岸議員は、オンラインカジノに係る消費者生活センターへの相談件数が、2014年には100件程度であったが、2020年度には500件近くになっていることを指摘。また、オンラインカジノの利用者は200万人以上に上るとの予想を示した上で、公営ギャンブルのネット利用者数(推計)である、競馬506万人、競輪329万人、モーターボート117万人と比べても、オンラインカジノの利用者数は多いのではないかと強調し、政府の見解を求めた。
岸田総理は「賭博行為の一部が日本国内で行われた場合は、賭博罪が成立することがある」「実際、オンラインカジノに関わる事案で逮捕、立件されたケースがあることは承知している。違法な構造が広がるということは許してはならない」と答えた。
続いて、オンラインカジノの担当省庁や大臣を問われた岸田総理は「担当大臣は置かれていない。関係省庁でそれぞれ対応している」と答弁した。
山岸議員は、競馬やパチンコなどと違い、いつでもどこでもできるオンラインカジノの依存症の危険性も指摘。「ギャンブル等依存症対策推進基本計画での記述を見ても、取り組みが不十分ではないか」と質した。
それを受けて岸田総理は「ギャンブル等依存症対策推進基本計画の性質そのものが、そもそも合法的なギャンブル等における関係事業者による依存症対策の取り組みを中心に記述しており、オンラインカジノは違法であり、違法なギャンブル等については、取り締まりの強化のみを記述しているのが基本計画の有り様だと思っている」と説明した。
山岸議員は、オンラインカジノへ入出金をする決済代行業者の実体についても疑問を投げかけた。岸田総理は「決済代行業者の実態は必ずしも明らかになっていない」とした上で、「しかしながら、取引が犯罪による収益である疑いがある場合には、犯罪収益移転防止法に基づき、金融機関は政府に届け出ることとされており、政府当局は必要に応じ、この情報を捜査に活用している」と述べた。
現在、大阪府・市と長崎県がIR(統合型リゾート施設)誘致を目指していることを踏まえ、山岸議員は「既に存在しているオンラインカジノという社会の脅威に対してすら対応できていない政府に、IRのカジノを任せることができるのか」「オンラインカジノを放置したまま、箱物カジノを認可することはあり得ないのではないか」と政府を批判。岸田総理は「IRはカジノだけではなくMICEや観光拠点をつくるもの」とした上で、「オンラインカジノは違法なものであり、関係省庁が連携し厳正な取り締まりを行う。資金の流れ等の実態把握が重要で、依存症対策も重要な課題」と答えた。