和歌山県がマリーナシティ(和歌山市)に誘致を進めているIR(カジノを含む統合型リゾート施設)を巡り、和歌山市の市民団体「カジノ誘致の是非を問う和歌山市民の会」は7日、市の選挙管理委員会の審査で有効とされた2万39人分の署名とともに、住民投票条例の制定を求める書面を尾花正啓市長に提出した。市は受理した。
市民団体が提出した署名数は有権者の約6.5%にあたり、直接請求に必要な2%(約6,200人)を上回る署名数となった。
市が市民団体による直接請求を受理したことを受け、尾花市長は20日以内の1月26日までに市議会を招集し、条例案に意見を添えて市議会に提案する。市議会で可決されれば住民投票が実施される。
和歌山県では、昨年8月、クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びClairvest Group Inc.のコンソーシアムが、IR設置・運営優先権者として選定され、県と基本協定を結んだ。9月末には米カジノ大手のシーザーズ・エンターテイメントがカジノ事業者として参加することも発表され、現在は県とクレアベストが共同して区域整備計画の作成を急ぎ、期限となる2022年4月28日までに国へ申請することを目指している。しかしながら、県とクレアベスト側が、資本参加する企業名や資金調達についての具体的な内容を県議会で明らかにしていないなどの指摘を受け、11月に予定していた住民説明会が延期になるなどしている。
IR誘致を問う住民投票条例制定を巡っては2021年1月、横浜市でIR誘致に反対する市民団体が必要数の3倍となる約19万筆を提出し、条例案が市議会で諮られた。議会で住民投票条例案は否決されたが、その後の8月に行われた横浜市長選で、IR誘致に反対する山中竹春氏が市長に当選し、横浜市のIR誘致が撤回された経緯がある。