アジアのゲーミングおよびレジャー業界を取材して16年目を迎えたIAGの新連載では、ちょうど10年前の特集記事「Join the Club(次に来るのは?)」から、2011年10月当時の話題を振り返る。
ギャラクシーエンターテインメントグループは、ギャラクシー・マカオ第3フェーズの公開を目前にして新年を迎える。そこで、過去にさかのぼり一歩踏み込んで、この象徴的なマカオの統合型リゾートの進化を考えてみたいと思う。
ギャラクシー・マカオは、Inside Asian Gaming2011年12月号の特集記事で取り上げられた。その段階ではたった7カ月の営業であったにも関わらず、すでにこの施設がマカオゲーミング界の様相を非常に早いスピードで変化させているのは明らかだった。
主にスターワールドでの最初のカジノが極めて小規模であ ったことが原因で、2010年には収益シェアの点でマカオのコンセッション保有6者中最下位にいたGEGだが、ギャラクシー・マカオのオープンによって、SJMに次ぐ2位へと急速にかけあがった。その原動力となったのが、世界的に有名なカジノ建築家、ポ ール・スティールマン設計のカジノルームにあるVIPバカラの座席増設だった。
ギャラクシー・マカオの成功は、マカオゲーミングの本拠地としてコタイが台頭してくる初期の兆候だった。その後、GEGとサンズ・チャイナ(コタイにあるザ・ベネチアン・マカオ、ザ・パリジャン・マカオ、ザ・ロンドナー・マカオの事業者)が現地ゲーミングシーンの最大手2社として浮上したのは当然のことだ。
当時あまり予測できなかったであろうことが、マカオのゲーミングミックスの変化だった。マスマーケットのテーブルゲーミング粗収益が前年比で約450%も伸びたにもかかわらず、2011年10月時点ではGEGのテーブル収益の14.4%を占めるだけであ った。10年先に早送りすると、マステーブルは21年第3四半期にGEGのテーブルゲーム収益の65%を占め、コロナ前の19年第4四半期の53%から増加した。
もちろん、変わったことがある一方で、変わらないこともある。GEGの当時のグループ社長兼COO、マイケル・メッカ氏は、2011年にIAGに次のように語っていた。「マカオのレジャーとエンターテイメント商品を多様化し、マカオを世界レベルの観光とレジャーの中心地として位置付けるという政府の目標をさらに助けるために、我々は非ゲーミングサービスの拡充に大きな投資を行ってきた。そして、今後もそれを続けていくだろう」