ベトナム、フィリピン、ロシアの統合型リゾート開発に権益を保有する香港上場企業のサンシティグループは、融資者が支配株主のアルヴィン・チャウ氏に発行したローンの全額返済を要求したことを受け、支配権変更の可能性を示唆している。
サンシティグループの元会長兼取締役であるチャウ氏は、組織犯罪関与、違法賭博、マネーロンダリングの容疑でマカオ当局に保釈の見込みなしのまま逮捕・拘留された後、先週辞任した。
10日(金)の発表によると、チャウ氏が完全所有するスター・ソウル・インベストメントは、融資者のシンジケート団の代理人を務めるWooco Secretarial Servicesからの手紙を受け取ったとのこと。その手紙は、チャウ氏の逮捕により施設契約に基づく債務不履行が続いており、合計3億1,361万959香港ドル(約46億円 )相当のローンと利息を2021年12月8日から5営業日以内に全額返済するよう要求している。
支払いを怠れば、同社は現在フェイム・セレクトが保有するサンシティ株式の74.85%に相当する49億9,164万3,335株の売却を含む様々な有価証券の所有権を獲得し、それにより返済金を確保する目的で法的措置を取るつもりであるとのこと。フェイム・セレクトは、チャウ氏が50%、チェン・ティン・コン氏(Cheng Ting Kong)が50%所有している。
Woocoはまた、他のさまざまな有価証券の中でも下記の獲得を目指している。フェイム・セレクトが保有し15億4,615万3,846のサンシティ株に転換可能な4億200万香港ドル(約58億円)の転換社債、チャウ氏が完全所有するスター・ホープが保有し、1億9,666万6,666株のサンシティ株に転換可能な1億7,700万香港ドル(約26億円)の転換社債、サンシティの執行役員であるアンドリュー・ロー・カイ・ボン氏が保有し、1億3,333万3,333株のサンシティ株式に転換可能な1億2,000万香港ドル(約17億円)の転換社債、そしてフェイム・セレクトとスター・ホームの発行済み株式資本全体である。
サンシティは、Woocoが執行処分の際に概説したこれらの証券の扱いに関する情報はなかったとしたが、「同社による上記証券の執行は、会社の支配権の変更につながる可能性がある」と述べた。
またそのような行動により、サンシティが運営を担い開発が進行中の統合型リゾートプロジェクトにどのような影響があるかについても不透明なままである。同グループは、昨年ベトナムにホイアナを開設した三者合弁事業の一社であり、ロシアのウラジオストクにあるティグレ デ クリスタルの過半数の株式を保有し、またマニラのエンターテインメント・シティにあるウエストサイドシティ・リゾートワールドで10億米ドル(約1,136億円)のホテルとカジノを開発中である。
チャウ氏はマカオの司法警察に逮捕された11人のうちの1人であり、その後11月下旬の裁判を待つためにコロアネ刑務所に移送された6人のうちの1人である。上場企業とは直接関係のないサンシティのジャンケット事業体は、先週同社のマカオにある VIPクラブを全て閉鎖し、週末にジャンケット事業の停止を公式に発表した。