香港に上場しているサンシティグループは、同社の大株主であるアルヴィン・チャウ氏がCEOおよび取締役を退任することを明らかにし、同社の事業および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があると警告している。
サンシティは11月29日(月)に提出した書類の中で、週末にマカオ当局に逮捕された47歳のチャウ容疑者が同社のCEOであることを確認し、同容疑者が「当社の取締役会会長および執行役員を辞任する意向を示した」ことを明らかにした。
しかし、同社は、ベトナム、フィリピン、ロシアでの継続的な開発責任を果たすためには、同容疑者が同グループに最近提供した財政的支援が不可欠であると指摘。その支援とは、2020年8月に38億8,000万香港ドル(約565億円)の既存の株主貸付金を永久証券に交換することに合意し、さらに60億香港ドル(約874億円)を追加の永久証券の形で注入することの約束も含まれる。
同社は当時、これらの追加資金は、ベトナムのホイアナ、ロシアのティグレ・デ・クリスタル、マニラのウェストサイド・シティ・リゾーツ・ワールドでの10億米ドル(約1,140億円)のホテル・カジノ開発など、同社の統合型リゾート計画の資金調達に使用されると述べていた。
マカオ当局が同容疑者を逮捕したのは、中国の温州市公安局が同社の社長に対して逮捕状を発行し、サンシティ・ゲーミング・プロモーション・カンパニー・リミテッド(SCGPCL)の代表として越境賭博を行い、「中国でカジノを開設した」と告発した翌日のことだった。
同社は同提出書類の中で、同容疑者が100%所有するSCGPCLは「旅行・関連事業分野において、当グループにとってホテル宿泊商品の重要なサプライヤーである」とし、2021年6月30日までの12カ月間におけるSCGPCLへのホテル宿泊商品の販売による収益は合計2,590万元(約4.6億円)で、グループの総収益の17.4%を占めると指摘。
「SCGPCLが当グループにホテル宿泊商品を提供できず、当グループが代替品を確保できない場合、当グループの旅行関連事業に悪影響を及ぼす」と同社は述べている。
しかし、同社は、ティグレ・デ・クリスタルが中国の顧客にギャンブル行為を勧誘をするために役員を派遣し、越境賭博に関与しているとの報道を否定している。
「取締役会は、そのような疑惑が事実でないことを明確にしたい。当グループの取締役、役員、従業員のいずれも、ティグレ・デ・クリスタルのゲーミング事業のために中国国内の顧客を勧誘したことはない」。
また、「この発表の日現在、取締役会が認識している限りでは、チャウ容疑者を除き、当社、その子会社、グループのいずれの取締役、役員、従業員も、本事件に関連した調査や告発を受けていない」と付け加えた。