会長兼CEO
ブルームベリー・リゾーツ
パワースコア: 1,329
昨年の順位: 7
評価理由
- エンターテイメントシティの統合型リゾートを単独で管理する唯一のフィリピン企業のトップ
- ケソン市に2つ目のカジノホテルを建設
エンリケ・ラソン・ジュニア氏は、コロナ禍がどれくらい続くかについて業界で最初に公に予測した人物の一人だ。しかし、ブルームベリー・リゾーツが2020年度、1億7,000万米ドル(190億円)の純損失を計上してからおよそ1年、彼は今まさにより良い日々がいつ戻って来るかに思いを巡らせていることだろう。
マニラのソレアリゾート&カジノ、そしてはるかに小規模な(現在は休業中の)韓国の済州サンを運営するブルームベリーは、定期的な休業期間と収容人数の制限の影響を受けて、昨年の損失の上に、第1、第2四半期のそれぞれ1,630万米ドル(18億円)と2,410万米ドル(26億5,000万円)という損失を積み上げる形となった。
ソレアが7月までしか営業できなかったことを考えると9月期の四半期業績も同様の結果になるのは確実だ。しかし、感染拡大が始ま って以降、ラソン氏がフィリピンの新型コロナとの戦いの最前線にいることは間違いない。
昨年、ラソン氏の会社は、パラニャーケのソレア近郊に病床600床を有する隔離施設の建設資金を提供し、今年には1日当たり1万2千人のワクチン接種が可能な施設を計画した。ソレアはまた、接客スタッフ全員がワクチン接種済みであることを発表した最初のIRの1つだった。
そのどれも驚くべきことではない。自分自身のゲーミング経験は持たないにもかかわらず、ラソン氏は2013年、マニラのエンターテインメント・シティに国内初の統合型リゾートをオープンさせた。すでにソレア以外のIRも建っている中であってもなおもマニラの全カジノの中でシェアトップの座を保持し続けている。
その間、ブルームベリーはケソン市でのマニラ2つ目のIR、ソレア・ノースの開発にも力を入れており、2023年の開業を目指している。日本もまたしばらくの間レーダー上にはあったものの、日本市場を停滞させ続ける規制上および財務上の不透明性を考慮してブルームベリーはひっそりと去って行った。
ラソン氏は自身が持つ多くのビジネス上の利害関係のおかげで、フィリピン国内で巨大な影響を及ぼし続けている。中でも特筆すべきは、彼が最初に十数億ドルの富を築いた巨大港湾管理会社のインターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービス(ICTSI)を介したものだ。
彼はまた電力、鉱業、石油およびガス会社の株式を持っており、2020年には公益事業会社のマニラ・ウォーターの株式を25%購入し、長い間財務上の問題がフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領の怒りを買っていた事業に、待望の資金投入を行った。ラソン氏は今年、その持ち株を51%にまで引き上げ、取締役会会長に就任し、すでに多くのカードを持つ彼に、また一つ新たな手が加わった。