米国国務省、米国財務省、米国商務省は、カンボジアで操業中あるいは進出を検討中の米国企業に対し、現地のカジノ産業を含む特定の事業体や分野との関わり合いに注意するよう、共同で勧告を発表した。
この勧告では、米国企業がリスクにさらされる2つの主要分野として、違法の金融活動と、人、野生生物、麻薬の取引に関与するカンボジア企業との交流を挙げており、特にシアヌークビルにあるカジノは、これら2分野と密接に関連している。また、金融、不動産、インフラなどの分野も懸念されている。
カジノに関する項目では、2014年から2019年の間にカンボジアで発行されたカジノライセンスが263%増加したことについて、「これらの施設を監視し取り締まる規制当局の能力を上回っており、カジノに投資して資金洗浄に利用する犯罪組織を引き寄せている」と指摘。
「カジノの大半を抱えるプレアシアヌーク州では、新しいカジノやその他の商業企業に関するこうした脆弱性を認識し、政府はマネーロンダリングや人身売買の疑いを調査する省庁間タスクフォースを設立した。 このタスクフォースは2021年10月現在、調査結果の報告書を発表していない」。
カンボジアは、世界的なマネーロンダリング・テロ資金対策の取り組みの主導を任務とする政府間組織である金融活動タスクフォースから、プログラムの不備を理由に2019年にグレーリスト入りしており、「規制や監督が限られている 」ことを理由に現在もその状態が続いたままだ。汚職は「蔓延し、広まっている」と同勧告では述べられている。
また、米国企業に対し、特にカンボジアの観光産業に投資する際には、人身売買や児童搾取の恐れを考慮するよう助言している。
「過去5年間に何十軒ものカジノが建設されたシアヌークビルでは、開発が進んでおり、児童搾取や人身売買の懸念がある」。
「カンボジアでは2020年にオンラインギャンブルが禁止され、その後多くのカジノやその他の娯楽施設が閉鎖されたことで、そのような人身売買は減少した。しかし、この問題は依然として続いており、カンボジア経済が新型コロナウイルスから回復するにつれて拡大する恐れがある」。
「政府は児童労働に対処する能力を欠いており、特にプレアシアヌーク州では問題の規模に圧倒され、建設現場やカジノ、ホテル、カラオケバーなどの娯楽施設で児童労働者が増加している」。
同勧告では、特定の企業や事業者の名前は挙げられていないものの、カンボジアのカジノ分野に関わる犯罪集団の例として、14Kの正体であるブロークントゥースことワン・コク・コイと北朝鮮のキム・チョル・ソクが挙げられている。