ゲンティン・マレーシアは、間接的な完全子会社であるゲンティン・ER II LLCを通じ、1億5,000万米ドル(約170億円)の「シリーズL優先株式」を引き受け、米国を拠点とするエンパイア・リゾーツへの追加出資を決めた。
今回の引受は、ゲンティン・マレーシアがエンパイアの株式を49%取得した2019年8月以降、複数のトランシェにまたがる同様の投資に続くもので、その間の資本注入総額は5億2,000万米ドル(約589億円)になる。
ゲンティン・グループの会長兼CEOであるKT・リム氏の家族信託が51%の株式を保有して大部分のオーナーとなっているエンパイアは、ニューヨークのカジノのリゾートワールド・キャッツキルやモンティセロ・レースウェイを所有・運営している。
ゲンティン・マレーシアは、今回の引受による資金はエンパイアの長期的な資金調達計画を促進するために利用されると述べている。
野村のアナリストであるタッシャー・モハタ氏とアルパ・アガワル氏は、同社の投資家が今回の資本注入をネガティブに受け止める可能性が高いとしながらも、5月から7月にかけてEBITDAがプラスに転じ、ここ数ヶ月のリゾートワールド・キャッツキルの業績改善を指摘。
「全体的に見て、エンパイアの今後の流動的な状況は改善されるはずだ」と述べた。
また、同氏らは資金の一部をニューヨーク州オレンジ郡にあるリゾートワールド・ハドソンバレーに向けることも提案。エンパイアは6月、地元のショッピングモールにある8,360平米の敷地を、3,200万米ドル(約36億2,400万円)をかけて「約1,300台のビデオゲーミング機とリゾートワールドのシグネチャーラウンジのBar 360を備えたゲーミングおよびエンターテイメント・デスティネーション」に変える提案を発表した。
しかし、近い将来、同氏らはゲンティン・マレーシアからのさらなる資金調達の必要性はないとしている。
「ゲンティン・マレーシアによる今回の投資の後、エンパイアは長期的な財政立て直し計画を締結できる有利な立場にあり、ゲンティン・マレーシアによる今後の同様の資本注入の必要性はなくなるだろう」。