任期満了に伴う横浜市長選挙で当選し、ことし8月に就任した山中竹春 新市長は10日、市議会の所信表明演説でIR(カジノを含む統合型リゾート施設)の誘致撤回を宣言した。
山中氏は「IR誘致の撤回を、ここに宣言いたします。事業者選定のプロセスを直ちに中止し、必要な手続きを速やかに進めてまいります。10月1日には、IR推進室を廃止します」と述べた。
今月6日には、IRの横浜誘致に賛成する横浜商工会議所が、経済対策やIR誘致推進などの要望書を山中市長に提出していた。横浜商工会議所の上野会頭は「IRの問題については、誘致を撤回すれば、市長が目指すような横浜の確固たる将来の発展というものは望めないのではないかと思っている」と述べ、「今後の横浜経済の復興にはIRは不可欠である」と要望書にも盛り込んでいた。
横浜市の山下ふ頭へのIR誘致を巡っては、林文子前市長が2019年8月、それまでIR誘致は「白紙」状態としていたが、一転して誘致を発表。IR誘致問題は、今回の市長選の大きな争点となり、山中氏は誘致反対を強く掲げていた。
横浜市へのIR誘致が頓挫した今、IR誘致を公表し進めている自治体は、大阪府・市、長崎県、和歌山県の3カ所となった。長崎県はカジノオーストリアグループと、和歌山県はクレアベストグループとそれぞれ基本協定を締結しており、来年4月28日期限の国への申請を目指す。
大阪府・市はRFPの段階ではあるが、MGMリゾーツとオリックスからなるグループのみの応募となっており、基本協定締結に向けて調整を進めている。国は今回、最大3カ所をIR整備区域に認定する予定。