アジアのゲーミングおよびレジャー業界を取材して16年目を迎えたIAGの新連載では、ちょうど10年前の特集記事「Networked(オンラインのつながり)」から、2011年8月当時の話題を振り返る。
マカオのカジノ業界にとって、望まれていたほどの転機とはなっていないかもしれないが、少なくとも、多くの人がもう長くはないだろうと考える業界における革新の可能性を際立たせはした。
Inside Asian Gamingの2011年8月号で我々は、従来型のジャンケットモデルに大改革を起こそうとしていたユニークなVIP事業者、ゴールデンウェイの幹部たちに話を聞いた。そのアイデアは2つの要素から構成されていた。1つは、プレイヤーがクレジットではなく、前払いで現金を支払うシステムを導入すること、そして2つ目はエージェントに頼るのではなく専用ウェブサイトを通じてプレイヤーを集めること。
それらのコンセプトは当時野心的と見られており、今日に至るまでそれは変わらない。しかしながら、ゴールデンウェイのコンセプトは興味をそそるものだった。クレジットよりもキャッシュというモデルを活用することで、ジャンケットは債権回収に関わるリスクを排除し、プレイヤーが使い過ぎないようにすることができた。資金へのアクセス、そもそもクレジットベースのプレイが存在するまさにその理由をめぐる問題に対処して、ゴールデンウェイはIAGに、同社の商品は主に、より伝統的なジャンケット客よりもむしろ、エンターテイメント体験を求めるハイエンドプレイヤー達をターゲットにしていると語った。
しかしながら、同社はまた、ウェブサイトを通じて直接プレイヤーを集めることによって、エージェントに一定のコミッションを支払う必要をなくし、より高いリベートも提供できることも望んでいた。
ゴールデンウェイのジェリー・ツェ氏は当時「当社の経営構造は近代的で、マカオのジャンケット経営や犯罪組織という従来のイメージとはかけ離れている。
新たなチャンネル、そしてゲストのための新たな環境を作り出すということ。我々は、VIPプレイ対象のキャッシュモデルというこのモデルがマカオのイメージの改善に役立ち、観光地として発展する手助けとなると強く信じている」と述べていた。
たとえVIP業界がそれ以降、地域的な景気後退、中国による汚職撲滅の取り組み、そしてより最近では新型コロナのパンデミックによって大幅な縮小を経験していると言えども、ゴールデンウェイのコンセプトは確実に独創的なものであった。
しかし、もしジャンケット業界が豊かな未来を享受するつもりならば、そのような既存の枠組みや考えに縛られないアイデアを参考にすると良いかもしれない。