オーストラリアの大手カジノおよび統合型リゾートクラウン・リゾーツとスター・エンターテイメント・グループのCEOが会談し、合併による両社の統合案についての詳細を検討した模様である。
オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(AFR)の報道によると、スターのマット・ベキアーCEOは先週、クラウン・リゾーツの社長に就任したばかりのスティーブ・マッキャン氏と会い、5月上旬にスターが提示した提案の詳細を確認したとのこと。マッキャン氏は、ニューサウスウェールズ州におけるカジノライセンスの保有に関してクラウンの適性を調査したバーギンレポートの結果を受けてケン・バートン氏が退任した後、6月1日(火)にCEOに就任した。
IAGの既報の通り、この提案が受け入れられ、完全に実行された場合、合併後の新会社の形式的な所有権は、クラウンの株主が59%、スターの株主が41%となる。
6月21日(月)のAFRの同報道によると、ベキアー氏は、メルボルン、シドニー、ゴールドコースト、ブリスベンにある両社の不動産の一部をセール・アンド・リースバックすることで、年間1億5,000万から2億豪ドル(約125億から167億円)のコスト削減が可能になるとマッキャン氏に提案した。
スターの提案は、ジェームズ・パッカー氏のコンソリデーテッド・プレス・ホールディングが現在保有しているクラウンの37%の株式を買収するべく米国のグローバル資産運用会社オークツリーキャピタルマネージメントLPからの31億豪ドル(約2,580億円)の提案を含めた、現在クラウンに提示されている数多くの合併・買収提案のひとつ。クラウンはすでに、米国の多国籍プライベートエクイティ・ヘッジファンド大手ブラックストーン・グループからの公開買い付けを退けており、その提案が同社の資産と将来的な収益力を過小評価していると主張している。
ビクトリア州と西オーストラリア州の2つの王立委員会がクラウンの適性を検討している中、今回の提案がなされた。また、ニューサウスウェールズ州では、同社が適性を満たした上で、22億豪ドル(約1,830億円)を投じて開発中のクラウン・シドニーでのカジノ運営開始に向け、規制当局との交渉が続いている。