立憲民主党神奈川県連は15日、任期満了に伴う横浜市長選(8月8日告示、22日投開票)の独自候補として、横浜市立大学学術院医学群の山中竹春教授(48)の擁立に向けた最終調整に入った。毎日新聞などが伝えた。
同党はこれまで、市が進めるIR(カジノを含む統合型リゾート)の誘致反対を掲げる候補の擁立を目指してきた。今後、党内外で合意が得られれば、山中氏を野党系の統一候補としたい考えだ。
市長選には今まで、いずれもカジノに反対する現職市議の太田正孝氏(75)と、動物保護団体代表理事の藤村晃子氏(48)が、IR誘致にはニュートラルな立場を表明する元内閣府副大臣の福田峰之元衆院議員(57)がそれぞれ無所属での出馬を表明している。IR推進派で3期目の現職、林文子氏(75)は、4選目への意欲を示していると報道されている。2013年、17年の選挙で林氏を推薦してきた自民党は、党の内規で公認や推薦を出すのは「連続3期」までと定めていることに加え、林氏が高齢で、ことし1月には帯状疱疹で入院するなど健康面の不安もあることから同氏を支援できないとしている。
横浜市長選は、市のIR誘致の是非が争点の最大ポイントになっていると言っても過言ではないが、巨大都市である横浜市の運営はそう単純なものではない。現職の林文子市長は3月の定例会見で市長選の話題に触れ、「横浜などの大きな基礎自治体はワンイシューで語るものではない」と述べている。
現在市長選に出馬の意向を示している候補者は、IR誘致関連以外の政策について見えてこない部分も多い。
一方、IR誘致を推進する与党自民党も、統一候補の擁立には至っていない。今まで観測気球的に何人かの名前が挙がってはいるが噂止まりだ。選挙戦略として、野党統一候補が出た後に候補者を発表する「後出しジャンケン」を狙っているとの見方も強い。
いずれにせよ、与野党共に統一候補を出さねば票割れを起こしかねないだろう。実際問題として、最大の票割れを引き起こすパターンは、現職の林文子市長が立候補し、さらに自民党サイドが統一候補を出した時だと考えられる。自民党サイドは難しい選択を迫られるかもしれない。
横浜市は、将来的な人口減少や財政難など様々な問題を抱えており、その状況打破の起爆剤としてIR誘致を進めている。その点も踏まえ、今後の横浜市政を担う人物に誰が選ばれるのか、注目が集まっている。