世界的なクルーズ船会社のゲンティン香港は、新型コロナウイルス感染拡大による経営破綻を回避するべく、債務の再編と資本増強を進めるための追加債権者の承認獲得に、引き続き自信を見せている。
コメントは、ゲンティン香港が日曜日に発表した監査済み財務報告を受けてのもので、2020年度のグループ全体の純損失が17億2,000万米ドル(約1,870億円)になることが確認されたと同時に、継続企業としての能力にかなりの疑問があることも明らかとなった。
この疑問は、2020年12月31日時点での流動負債が33億8,000万米ドル(約3,680億円)とグループの流動資産32億7,000万米ドル(約3,560億円)を上回っていること、そして、資本コミットメントが12億米ドル(約1,310億円)で、預金・現金・銀行残高がわずか2億4,280万米ドル(約264億円)であることに基づくもの。
「当社取締役はこのような状況を踏まえ、当社グループが継続企業として存続するための十分な財源を有しているかどうかを評価するに当たり、その将来的な流動性や業績および利用可能な資金源について慎重に検討してきた」とも、同報告で述べている。
流動性を確保するために債権者への支払いを全て停止すると昨年8月に発表した同社は、今月初め、一部の債権者と「全体的な資本増強」に合意し、同社の債務の満期を延長することになったと投資家らに報告。
同報告によると、債権者は17億4,000万米ドル(約1,890億円)の借入を行っているが、同社はさらに7億3,570万米ドル(約800億円)の負債を抱えることになった債権者との交渉が、進行中であると付け加えた。
「取締役会は、これらの債権者からの承認が得られる合理的な見込みがあると考えている」と同社は述べ、「当グループは、連結財務諸表の承認日から少なくとも12ヶ月間、業務上の必要条件、投資活動および財務上の義務を満たすために十分なキャッシュフローを有している」とした。
ゲンティン香港は、台湾とシンガポールのクルーズ船事業を再スタートさせるとともに、ナイトクラブブランドのズークや、シンガポールの高級ヨットメーカーの株式など、一部の非中核的資産を売却している。