IR誘致の検討姿勢を見せている愛知県は、昨年9月の県議会の中で県政策企画局長が「中部国際空港やその周辺エリア(空港島の利活用可能な県有地等約50ha)において、MICEを核とした国際観光都市の実現を目指して、調査・研究を進めている。(意見募集では)IR整備・運営主体となることに関心を持つ海外を含む法人等4者、個別ノウハウ知見を有する国内法人9者の計13者から参加申込があった」「(しかし)新型コロナウイルスにより、とりわけ海外事業者において、市場性、事業性の検討に限りがあった。今後のヒアリングで確認したい」と述べ、引き続き検討していく姿勢を強調したものの、その後のアナウンスは特に無いままである。
しかしIAGは、この依然として保留を続けるこの地に以前から関心を持つ多くの事業者がいること、そして以前は他の地域に関心を持っていたが今はこの地に関心を持っている事業者が複数いることを確認している。そこで今回IAGは、愛知県の現在の状況を実際に県に確認してみることにした。
まず、愛知県ではIR誘致関連予算が組まれておらず、担当部署は地方創生課である。同課の担当者は「IRに関しては依然、検討中である。現在は新型コロナの影響で手一杯なところもある」「昨年12月に大村知事が『(事業者に)事業可能性を聞いてみたい』と発言したが、これも新型コロナの影響で止まっている状況だ」と話す。
同県のIR誘致に関心を示す事業者は少なくない。彼らにとっては、県が今回の区域整備計画認定申請(2021年10月1日~2022年4月28日まで)への参加を考えているのかどうかが最大の関心事であろう。同氏は「現在は申請するかしないかではなく、事業としての可能性があるのかどうかを検討している段階だ」と説明する。これは、IRが事業として成功すると判断した場合には、県としてレースに参加していく可能性があることを示唆している。
また現在、県が推し進めている政策に「あいち・とこなめスーパーシティ構想」というものがある。中部国際空港島・周辺地域を中心に、実装できる先端技術をまるごと取り込み、世界No.1の国際観光都市を実現するというコンセプトで進められている構想だ。この構想はIRと同じく、空港島や周辺地域を対象としMICE誘致なども目指すものだが、IRとは全く別のプロジェクトだという。「(もちろん)IR誘致が決まれば本構想とIRが相互に連携することはあるだろう」と同氏は述べた。