問題を抱えるクルーズ船事業者のゲンティン香港が、ドイツ政府との間でMVヴェルフテン造船所グループを経営破綻から救うための6億米ドル(約631億円)の救済策の可能性について協議している。
この救済策は、合意が形成されれば、MVヴェルフテンの監督下にある3つの造船所でのクルーズ船造船計画の継続を助け、最大3,000人の失業を阻止することができるとマリタイム・エグゼクティブが報じている。
ゲンティン香港は、2016年にクリスタル・クルーズおよびドリーム・クルーズラインのためのクルーズ船造船を進めるためにMVヴェルフテンを取得した。 しかしながら、ゲンティン・グループの香港法人である同社は、新型コロナの世界的感染拡大から特に大きな打撃を受け、昨年8月には新型コロナによる圧力の中で流動性を保持するために、利息や傭船料の支払いを含むグループの金融債権者への全ての支払いを一時的に停止すると発表した。同社は当時、総額およそ34億米ドルもの負債を抱えていた。
コロナ禍でドイツの造船所を存続させることが困難になったことから、ドイツ当局は10月に2億2,700万米ドルのつなぎ融資を行い、今年に入ってからもさらに6,500万米ドルを融資するなどして同社が破綻しないよう多額の支援を行なってきた。
しかしながら、先週末に行われた会合の後で、メクレンブルク=フォアポンメルン州経済大臣は、政府はドリーム・クルーズブランドの2隻の造船を通じて造船所での雇用を維持するために追加の資金を提供することを余儀なくされたと述べた。
その資金によって、4つ目のロイド・ヴェルフト造船所が閉鎖から救われる可能性は低い。ロイド・ヴェルフト造船所も2016年にゲンティン香港に買収された。この造船所は、主にクルーズ船修理と高級ヨット造船に焦点を当てていたものの、2020年始め以降世界でクルーズ船の運航が相次いでいることで、仕事がないことを報告している。
ゲンティン香港は最近、2020年1-6月期の連結純損失7億4,260万米ドルを報告した。