大阪にとってはホッとひと安心といったところか。米IR大手の「MGMリゾーツ・インターナショナル」のビル・ホーンバックル最高経営責任者(CEO)は10日(米国時間)、あらためて大阪での統合型リゾート(IR)への参入意欲を示し「多くの時間とエネルギーを費やしてきた。今年の夏ごろにパートナーであるオリックスと計画書を提出しなければならないだろう」と語った。朝日新聞などが伝えている。
MGMは「大阪オンリー」を掲げ、オリックスと組み、大阪府・市が進めるIR計画に唯一参加する意向を表明してきた。ただ、この日発表した2020年12月期決算は厳しく、売上高は前年比約6割減の約52億ドル(約5400億円)、利子や税金を支払う前の損益は1・48億ドル(約155億円)の赤字に転落した。
ホーンバックル氏は「日本でもコロナが大きなダメージを与え、市場を含め敏感な要素がある。9カ月も現地に人を置いていない。回復には時間がかかる」としたうえで「事業の長期的な回復に自信を持っている」とも話した。
一方、オリックスの幹部は今月8日の決算会見で「1年間時間をおいて色々なところが見えてくる。慎重に色々なことを検討していきたい」と述べるにとどめたが、参入姿勢は変わらないと強調している。
海外のIR大手はコロナ禍で経営が厳しく、投資を見直す動きも出ている。大阪と同様にIR誘致をめざす横浜市では、参入意欲を示していた米ラスベガス・サンズとウィン・リゾーツが撤退を決めた。
日本進出を検討するほかの事業者も「世界最高水準」とされる日本版IRの投資規模や開業時期に資金調達の面から不安を感じている。関係者の間では、最初から巨大な施設を整備せずに、まずは規模を縮小して事業を始める案も浮上している。今後、カジノ業者や自治体、政府の間で改めて協議する場面が出てくる可能性もある。