横浜市は21日、IR(カジノを含む統合型リゾート施設)の誘致をについて、実施方針を公表し、事業者の公募(RFP)を開始した。
公募の参加資格審査書類受付期間は2月5日(金)〜5月17日(月)まで、提案審査書類の受付期間は6月1日(火)〜6月11日(金)までとし、夏頃に事業者の選定を行う。
事業者選定後は、秋〜冬頃に区域整備計画の策定や公聴会を開催、2022年3月までに市議会の議決を経て4月までに国への認定申請を予定している。国からの認定が得られれば、2020年代後半の開業を目指す。
横浜のRFP日程は、事業者が決断を下すのに使える期間において他の候補地とは大きく異なり、今から5月7日までと約4か月もある。そのような長い期間が与えられた理由は明かされていないが、IAGが得た情報によると、ラスベガス・サンズやウィン・リゾーツなど、昨年撤退を決めた事業者が市場に復帰する機会を与えるためである可能性があるという。また、東京が身を引くと決めた場合、代わりに横浜を選ぶために、東京が参戦するかどうかを辛抱強く待っている事業者にも余裕を与えている。
市は横浜IRについて、「世界最高水準のIRを実現し、“横浜を世界から選ばれるデスティネーション”に導く」とし、「世界に日本の観光の魅力を発信するとともに、横浜をゲートウェイとして世界各国から日本を訪れるインバウンドを、全国の魅力ある観光地に送客していく。これらにより、2030年に外国人訪問者数 6,000 万人、外国人消費額 15 兆円を目標に掲げる我が国の成長戦略に寄与するとともに、日本の持続的な経済成長に貢献する」ことなどを掲げた。
また、それらを実現すべく運営事業者には、景観デザインをはじめ、スマートシティの実現や持続可能な街づくり、防災対策や衛生の確保、周辺地域の開発やインフラ整備、観光と経済の活性化などが求められた。
特に観光と経済の活性化については「IR施設の設置及び運営により生じる経済的社会的効果が最大限、市内ひいては国内に還元されるよう」努めることが明記されている。
また横浜の入札要件には少し珍しい要件も含まれている。実施方針には、カジノは「エレガントで落ち着いた内装であり、非日常を感じられる大人の社交場としてふさわしいドレスコードを設ける等、品位と清潔感ある空間を演出すること」というものだ。
横浜市は2019年にIR誘致を表明。これまで非公表だったRFCに提案したIR事業者は「ウィン・リゾーツ」「ギャラクシーエンターテインメントジャパン」「ゲンティン・シンガポール・リミテッド」「メルコリゾーツ&エンターテインメントリミテッド」「ラスベガスサンズコーポレーション」「セガサミーホールディングス」「SHOTOKU」の国内外7事業者。LVSは昨年5月、制限の多い規制を理由に撤退し、ウィンはコロナ禍において米国とマカオの事業に集中するために横浜オフィスを閉鎖した。